とりあえず、軽四に乗ろう。

10月16日、米海洋大気局などの専門家らは北極圏の気温が記録的な水準にまで上昇しているとの報告書を発表。写真はワードハント棚氷（たなごおり）。

　　　　　▲提供写真（ロイター/Center for Northern Studies/2008）

米海洋大気局（NOAA）などの専門家らは16日、海氷の消失などで北極圏の気温が記録的な水準にまで上昇しているとの報告書を発表した。今回発表された年次報告書によると、北極圏の気温は、通常の水準を5度ほど上回った。近年に多くの海氷が溶け、海面が太陽光を吸収しやすくなっていることが要因とされる。NOAAの太平洋海洋環境研究所の海洋学者ジェームズ・オーバーランド氏は「北極圏の変化は、さまざまな要因によるドミノ効果がほかの地域よりも示されている」と述べた。米コロラド大学の米国立雪氷データセンターは先月、北極圏の海氷は今夏、観測史上2番目に小さい面積に減ったと発表していた。

　この出来事自体も大変だが、この出来事に対するコメントが問題だ。「わがままなアメリカの積極的参加」とか、「環境より経済を優先する国の大統領」とか、それもまあそうだけど、当事者意識がまるで欠乏しているとしか思えない。
　自分も以前は「人類は一度滅びたほうがいい」とペシミスティックな考え方をしていた。人類が滅びても地球環境は1万年も経てば元どおりになる、とか。でも、考えてみれば食物連鎖のてっぺんにいる人類が滅びたら、生態系に甚大な影響を及ぼし、他の生物が存亡の危機に陥ることは必至だろう。
　実際に、北極海では気温上昇が原因で海流が変わり、北極海まで来ていたクジラたちが来なくなり、息絶えたクジラを食糧にしていた北極グマが絶滅の危機に瀕している。その元凶が自分の日常生活に起因しているという発想や想像力を持たないと歯止めが利かないところまで温暖化の問題は来ているんじゃないかな。
　「自分のできることから」という発想はもうゆるいんじゃないかな。もっと具体的で即効性のあるアクションを起こさないとダメなんじゃないかと思う。CO2を排出する乗り物にはもう乗らないとか。日本の自家用車と営業車、そして輸出車は全部、ハイブリッド車にするとか。一歩譲って自家用車は全部「軽自動車」にするとか。
　ちょうどいまFMで『港区ではベンツがカローラの6倍売れている』という本を書いた著者が南こうせつと対談している。ほんと、もうクルマは軽で十分だよ。東京にいると軽四って眼中にないけど地方じゃワゴンRが一番売れてるんだよ。やっぱり自分の孫世代、ひ孫世代から見て現在をどうするかという発想じゃないとね。地球温暖化で一番やばいのは人間のおごりや傲慢さなんだと思う。


港区ではベンツがカローラの6倍売れている

清水草一／著
（扶桑社新書26）
756円








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