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火宅の人、逝く     


緒形拳さんが亡くなった。

ショックだ。彼のように無骨で闊達でとても倒れそうにない人が倒れると余計に衝撃が大きい。

映画では檀一雄を演じた『火宅の人』(1986年 監督・深作欣二 日本アカデミー賞最優秀主演男優賞)が好きだ。 ヨリ子(いしだあゆみ)という本妻がいながら、若い劇団員・恵子(原田美枝子)と懇ろになり、クラブのママ・葉子(松坂慶子)とは流浪の旅に出る。旅先で原稿を書いて送りながら美女と道連れ。あの生き方には憧れた。


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相米慎二監督の『魚影の群れ』(1983年)も印象に残っている。

野村芳太郎監督『鬼畜』(1978年 日本アカデミー賞最優秀主演男優賞ほか)、今村昌平監督『復讐するは我にあり』(1979年)、同『楢山節考』(1983年 日本アカデミー賞最優秀主演男優賞ほか カンヌ映画祭パルムドール)など重要な作品をまだ観ていない。これからじっくり観させていただきます。

テレビでは大河ドラマの『太閤記』(1965年 豊臣秀吉役)、『源義経』(1966年 武蔵坊弁慶役)、それから何と言っても『必殺仕掛人』の藤枝梅安役が忘れられない。

CMでは新潮社の「新潮文庫の100冊・拳骨で読め乳房で読め」(1984年)が彼のために作られたような骨太の内容でよかった。

寡黙な硬派、優しい好漢、非道の輩など幅広い役柄を演じ、誰を演じても一本筋が通り、たたずむだけで場を圧倒する存在感があった。

いつだったか、海外の映画関係者が「日本の映画は2人のKenで回っている」と半ば揶揄していた。もちろん、高倉、緒形のケンさんだ。Wikipediaで確認したら、映画・テレビ・舞台・CMと出演作品のものすごい数の多さに驚く。働きすぎたのだろうか。

今はゆっくり休んでくださいとしかいう言葉がない。


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by kzofigo | 2008-10-07 14:43 | ジョブズの流儀