DVD「迷子の警察音楽隊」を観た

文化交流の公演のためにイスラエルに招かれてやって来た8人のエジプト・アレキサンドリア警察音楽隊。なぜか空港に出迎えはなく、自力で目的地に向かうが、目的地と一文字違いのホテルすらない辺境の町に迷いこんでしまう…。
堅物の団長トゥフィーク。団長に反抗的な若手団員カレード。困り果てた一行を助ける食堂の美しい女主人ディナ。食堂にたむろする若者たち。登場人物それぞれに味があっていい。とくにチャンバラトリオの南方(みなかた)英二を渋くしたような独特のペーソスを醸し出すトゥフィークと、彼を気に入ってしきりに気を引くディナの魅力が印象的だ。ディナの女っぷりのよさと、トゥフィークとディナが過ごす一夜は、この映画のハイライトといっていいだろう。
ちょっとしたエピソードとそのさりげない切り取り方の積み重ねが、言葉と神様の違いや国同士の複雑な関係を超えて、観る者の親近感をじわじわと上げていく。映画が終わって登場人物たちと別れるのがこんなに惜しくなる映画も珍しい。団員たちの着ている制服のブルーをはじめ、赤や黄色など原色に近い洋服の色が砂漠の町によく映える。視覚的には、とてもカラフルな映画だ。
大学時代に流行ったイスラエルの青春映画『グローイング・アップ』シリーズ、『バグダッドカフェ』など1980年代の癒やし系ムービーの数々、荻上直子監督の『かもめ食堂』や『めがね』、笑いのツボと静かな作風が似ている北野武監督作品などが次々と観たくなった。映画鑑賞欲を芋づる式に喚起する作品だ。
オマー・シャリフやチェット・ベイカーがせりふに乗り、名曲『サマー・タイム』が重要な役割を果たしている。メガホンを取ったエラン・コリリンは34歳と若い監督だが、映画はもちろん音楽に対する愛情は相当、厚いものがある。こういった作り手の愛情が滲み出ている作品は好きだ。カンヌ映画祭はこの映画のために「一目惚れ賞」を特別に設けたそうだ。あなたなら、どんな賞を授けるだろう。僕なら・・・
最優秀南方英二賞。
by kzofigo | 2008-07-24 13:05 | ムービービーム























