4/3 さらば、甘い病院
ピンクのスリムフィットに
ワインレッドで修繕だらけの2001年製ナイキ・エア・チャンジョをはき、
ほとんどビニールの合皮ジャケットをはおり、
悪玉コレステロールを薬物治療しているスイートホスピタルへ行って来た。
担当医のクールビューティな女医さんは、ある時、苗字が変わった。
僕は率直に尋ねた。
「先生、苗字が◯◯になってますね」
「はい」
「変わったんですか?戻ったんですか?」
「戻りました」
「僕と同じだ。バツイチなんです」
「そうなんですか」
「ええ。お子さんは?」
「います」
「どっちに?」
「私に」
「それはよかった」
(ここから妄想)
「先生」
「はい?」
「先生のこと、勝手に好きになってもいいですか?」
「あら、うれしいわ」
「僕、お金ありませんけど」
「あなた一人ぐらい、私が養ってあげる」
「わ~い!」
そんなロマンチックなやりとりを交わしたかった担当医は、
新年度、退職してしまった。
なんてこった。
新しい担当医は、極めてビジネスライクな女医さんだったので、
僕は迷わずアパート近くの病院への転院を申し出て紹介状を書いてもらった。
惜別の儀式として、病院と目と鼻の先にあるマスカットスタジアムを、
山下達郎「あまく危険な香り」を口ずさみながらチャリで1周し、
4年にわたる甘い病院との蜜月の月日に終止符を打った。
あ、達郎じゃなくてアリスの「秋止符」にすればよかった。
by kzofigo | 2019-04-03 17:42 | ヘルス・エンジェルス