9/30 帰無化節

9月5日は、小・中・高と一緒だった同級生Tの命日。
ぼっけー遅くなって、墓参りが今日になってしまった。

16年前、Tが悪性リンパ腫で逝ったとき、この墓地はまだ更地だらけだった。
いまや墓がびっしりだ。特別で日常茶飯な生と死なのか人生は。

30年以上も前に村上春樹が書いているが、
生と死は背中合わせとかじゃなくて、地続きなんだな。


Tが眠っているはずの霊園は見晴しがとてもいい。
クルマの生活を送っていた頃、命日に関係なく、我を忘れによく訪れていた。




黒と茶の石で設えた洋風の墓があった。
夫婦とおぼしきファーストネームがローマ字で彫られている。
あ、と思った。女性の名前には生年月日と没年月日が添えられている。
でも、男性は生年月日だけだったのだ。

中心の墓碑には90歳代で亡くなった人たちの名前が彫られた墓があった。
片隅に6歳と3歳2人の女の子たちのごくごく小さな墓碑が立っている。
女児3人の身に一体、何が起こったのだろう。



心理統計法の統計的仮定検定の手続きでは、
まず研究者が本来主張したいこととは反対の「帰無仮説」を設定する。
これは、否定する、すなわち「無に帰する」ことを前提にした仮説である。

無に帰する支度をする頃合い。

この墓地に来る日を「帰無化節」と呼ぼう。



クルマなら自宅のワンルームマンションから
山の中腹にある霊園まで10分ほどで来れた。

一身上の都合でチャリの生活にしてからは、
行ける所までチャリで行き、そこからは登山だ。


▼愛しのアイシャ

チャリを降りてからもかなりの登坂だが、霊園の門からの勾配は半端ない。
クルマで上がるときもローでベタ踏みしてやっとだった。




いつも途中のコンビニで、T用のラガー、僕用のキリンフリーを買っておく。
墓のゴミを拾い、献花を整え、お水で清め、黙って拝む。

そして、乾杯。

登山で喉がカラッカラだったんで、キリンフリーが超うまかった。




気が向くと、Tの名前を含ませて、五七五の句をメッセージとして送った。
いままでで一番気に入ってる句はこれだ。


友の胸　笑顔ひとつで　癒す人


今日は、こんな句を送ってみた。


秋の友　　胸、くすぶりを　　燃やす人






　　　　　　　　　　腐乱したいと亡霊が言った







　　　　　　　　誰がジョージ・クルーニーやねん！