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12/22 発達心理学概論メモ


※放送大学のラジオ授業の中で面白い話があったので書き起こしました。



【初心者が発達の理論をどう学習すればいいの?】

◎北海道大学大学院教育学研究院 伊藤崇氏(ゲスト講師)

 たくさんの心理学的理論を紹介してもらった。これらは当然、学説史的な事実として押さえておくべき基礎的な事柄。だが、ただ暗記していればいいというものではない。うまく使いこなす必要があるだろう。

 理論というのは難しいものだ、使いこなすなんて、という人がいるかもしれない。しかし、理論というのは、この世界で起こるさまざまな出来事を統一的に見る枠組みのことで、私たちが直感的に世界を把握するために、もうすでに使っているもの。

 たとえば、かつては夜空の星の動きを説明するのに、地面は止まっているものとして考えられていた。現在では、地面のほうが動いているということを私たちは知っている。これらはそれぞれ天動説、地動説という星の動きを見るための枠組み。同様に、人間の心に起こる変化についても、私たちは何らかの枠組みで見ているはず。

これを言葉の形に直して示したものが理論。

 まずは、みなさん自身が、発達をどのように直感的に把握しているのか、振り返ってみるといい。そのうえで、自分以外の人がどういう理論で発達を見ているのか参考にするのがいいと思う。

 たとえば、ピアジェを読み、自分の理論に近いなあと思えば、ピアジェを大いに参考にし、またヴィゴツキーに近いと思えば、じっくりと彼の書いた本を読むといいだろう。もしかすると、ピアジェとヴィゴツキーの理論を混ぜたものが、自身の理論に近いかもしれない。

 要するに、まず自分なりの理論をはっきりさせておくことが大事だと思う。また、発達をどう見るかという理論は、研究者にとってだけでなく、人間に関わるあらゆる人にとって重要だろう。

 たとえば親は、どうしても標準的な発達の達成度と、目の前の自分の子どものできることの範囲を比べてしまいがち。そうして、遅れているとか、早熟だとか一喜一憂するわけ。これは発達心理学が普及する中で、どうしても生じてしまう、負の側面だと私は考える。

 プロセスを重視する立場に立つと、遅いか早いかということは、あまり重要ではなくなる。むしろ、ゆっくりでもいいから、できることを着実に積み上げているかどうかが重要。親が見るべきは、育児書に描かれた平均的な子どもの姿ではなく、

目の前で生きて動くわが子が懸命に伸びようとしている姿ではないか。

 このように理論は研究者だけではなく、親や保育士といった人間に関わるあらゆる人にとって重要だと思う。


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【進化について】

◎千葉大学文学部認知情報科学講座准教授 牛谷智一氏(ゲスト講師)

 進化はヒトに至る1本の道ではない。枝葉を広げるように単純なものから複雑なものへと(ときにはその逆へと)多様性を大きくするような形で種に分化していくというのが基本。多様性を見ることでヒトが浮かび上がってくる。

 比較認知科学/人をはじめとする動物の認知がどのような進化的な淘汰圧のもとで進化してきたかということを探究していく学問。



【なぜ人見知りや子どもの親に対する分離不安があるのか?】

◎名古屋大学大学院・放送大学客員教授 氏家達夫氏(担当講師)

 邪魔で不思議なものと思われるが、生き残るため、子孫を残すために貢献するものとして、淘汰されずに残ってきた、いずれも進化の産物。一見厄介な行動であっても、他の種と別れてヒトになるプロセスのなかで獲得する、進化に都合がよいもの。



進化って面白い。ダーウィンてすごい。

by kzofigo | 2014-12-23 00:31 | ジョブズの流儀