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9/26 執行猶予中なんや

永遠(とわ)も半ばを過ぎたって、
中島らもは不滅である。



かねてつ食品の雑誌広告「啓蒙かまぼこ新聞」や
「笑殺軍団リリパットアーミー」主宰で知られる、中島らも。

その独特の作風やスロウな生きざまと「お前に橋は渡らせんぞ」
「飲んだら出るな、出るなら飲むな」など自由奔放な名言の数々は、
没後8年が経ってもなおカルト的な人気がある。


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東京芸術大学が中心となり企画から制作、配給、公開まで携わったこの映像作品は、
中島らもの短編小説をドラマ化したフィクションパートと、
関係者11人のインタビュー「らも語り」のドキュメンタリーパートからなる。

ドラマは、主人公の女子高生の姉がヘビ女からヘビメタロッカーに昇華する
青春ドラマ『クロウリング・キング・スネイク』(主演:小島藤子、松尾貴史)。

画商の中年男が美女に自分の生き血を飲ませる
ロマンチックホラー『微笑と唇のように結ばれて』(嶋田久作、永池南津子)。

ちっとも似ていない自分のクローンとただならぬ関係に陥る
SFコメディ『仔羊ドリー』(勝村政信、諏訪太郎)の3本。


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思いつきを痛快なエンターテインメントに展開させる、
中島らもの才気を感じさせて及第点の出来栄え。

「らも語り」は山内圭哉(たかや)、古田新太、原田伸朗、チチ松村の4人がめっちゃおもろい。
なかでも元リリパットアーミー劇団員で半ば付き人だった山内の話には
笑い死なないように細心の注意が必要だ。古田新太のプロレスをめぐるエピソードもケッサク。


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                   ▲山内圭哉

酔いどれうつ病患者で荒くれ最後の無頼派。でも心底優しい弱者の味方。
そんな中島らもの人となりが、途中で挟まれるライヴシーンとともに、ひしひしと伝わってくる。

差別や病気、人種や宗教、国家や宇宙人なんかを超越した目線で全存在を全肯定した、
中島らも自作自演のエンディングテーマ『いいんだぜ』には涙を禁じ得ないだろう。

ライヴでけんかを売ってくる客を「執行猶予中なんや」のひと言で黙らせる無敵の鬼才に喝采!




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おすすめ度★★★★★

by kzofigo | 2012-09-26 12:21 | ミュージック・ブック