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平成のニニ・ロッソ

【CDレビュー】


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クリス・ボッティ(Chris Botti)は、米国オレゴン州ポートランド出身、
ジャズ・フュージョン界の才色兼備のトランペット奏者。

1962年10月12日生まれだから今年50歳になる。とてもそんな歳に見えない。
最初に見たときは30代かと思った。彼も『50歳を超えても30代に見える生き方』の愛読者なんだろうか。

マイルス・デイヴィスに影響され、トランペッターとしての道を進む決意をし、
高校時代よりプロとして活動するようになる。

30年におよぶプロ生活で、ボブ・ディランやアレサ・フランクリン、ポール・サイモン、
チャカ・カーン、ジョニ・ミッチェル、スティングといった世界のトップアーティストと共演。

1995年、33歳のときにファーストアルバム『ファースト・ウィッシュ』をヴァーヴ・レコードから発表。
デビューは遅かったんだね。端正なマスクでも人気を博し、2004年に『People』誌で
「世界で最も美しい50人」に選ばれ、すでにテレビドラマで俳優としてもデビューしている。





IMPRESSIONS  Chris Botti


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クリス・ボッティ、4年半ぶりとなるこのスタジオ録音盤でも、ハービー・ハンコック、
アンドレア・ボッチェリ、デヴィッド・フォスター、マーク・ノップラー、ヴィンス・ギル、
キャロライン・キャンベルなど、まるでグラミー賞の授賞式かと思わせるアーティストたちをフィーチュア。

全体的に、ハードボイルドでロマンチックな映画のエンディングテーマを集めたような、
スタイリッシュな仕上がりになっている。

ドラマチックな編曲に乗ってクリスの美しいハイトーンが冴えわたるショパンの『前奏曲第20番』。
クリスとアンドレア・ボッチェリのボーカルによるメロディが哀愁漂う『ペル・テ(フォー・ユー)』。
ロドリーゴの名曲を切なく奏でる『アランフェス協奏曲』。

ギター1本の伴奏でマイケル・ジャクソンのヒット曲を演奏する優しさに満ちた『ユー・アー・ノット・アローン』。ハービー・ハンコックのピアノとクリスのペットがアドリブのダンスをくり広げる『タンゴ組曲』。
クリスが敬愛するマイルス・デイヴィスばりのミュート・トランペットが渋い『セテンブロ』。

まるでボーカルのようにクリスのペットが歌っている『遠く離れても』。
元ダイアー・ストレイツのマーク・ノップラーがボーカルとギターで参加した
『この素晴らしき世界』の枯れた味わいは本作のハイライトだ。

全13曲、抑制の利いたサウンドで哀愁を帯びたスタティック(静的)な世界を創り出している。

高温多湿の夏の夜、ドライマティーニのように身も心も癒やしてくれる、大人のためのクールな1枚だ。





クリス・ボッティがスローな曲を吹くときの、まろやかな音色は、まるでフリューゲルホーンのようだ。
ロングトーンはブレスをしながら吹き続ける「循環呼吸奏法」なのかと思わせるくらい長い。

▼名盤といわれている『Chris Botti in Boston』から。トランペットが主役のソリストで行なう
コンサートって、僕の記憶ではニニ・ロッソ以来だ。あ、チャック・マンジョーネと日野皓正がいた。
あ、ウィントン・マルサリスもだ・・・

Chris Botti - Ave Maria and Caruso [HQ]




▼Wikipediaに「1990年になると、ポール・サイモンのレギュラー・メンバーとしてツアーにも参加した」
とあったからYOU TUBEで探したら発見。1992年のライヴだからクリスが30歳のときだ。
2:00から30秒ほど写る。やっぱり若いね~~~

Paul Simon - Late in the Evening 1992



バンドの面子が凄い。クリスの横で吹いてるテナーサックスが故マイケル・ブレッカー。
ドラムがスティーヴ・ガッド、キーボードがこのライヴの翌年に他界してしまった(涙)
故リチャード・ティーだ。

by kzofigo | 2012-05-31 10:30 | ミュージック・ブック