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3/30 ディランのカバーは感涙もの

【CDレビュー】


ライヴ・アット・ザ・ロイヤル・アルバート・ホール

アデル


23歳にして、大物ディーバの貫禄。

1988年、ウェールズ人の父親とスペインとトルコの血を引く母親との間に、サウス・ロンドンで生まれたシンガー・ソングライター、アデル。

デビューから2枚のアルバム『19』と『21』が世界中で2300万枚を売上げる大ベストセラーになり、今年の第54回グラミー賞で六冠に輝いたアデルが、2011年9月22日に英国で最も由緒あるホールで行なった公演を収めたライヴ盤。

シンプルなバンド編成とステージ構成ながら、まったく飽きることなく最後まで引き込まれる。3枚目にしてすでにベストアルバムの趣さえある。

アデルの魅力は、キャロル・キングやロバータ・フラック、ローリン・ヒル、ドリー・パートンを聴いて育ち、ポップスやフォーク、ジャズ、R&B、ブルース、カントリーなどさまざまな音楽要素をミックスした豊かな音楽性。

ポップなメロディと「信ぴょう性のあるリアルな歌こそが共感を持って聴いてもらえる、歌う意味のある曲」と意識したうえでのリアリティに富む歌詞。そして、ブルージーでソウルフルなスモーキーボイスにある。


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16歳の時に書いた『ホームタウン・グローリー』以外、『ドント・ユー・リメンバー』『ターニング・テーブルズ』『ワン・アンド・オンリー』など、歌っている内容はそれぞれ当時の恋人に対する個人的な想いを赤裸々に綴ったもの。

想いの丈を打ち明けた極めてパーソナルな言葉と陰影と哀愁を帯びた歌声で、心に痛手を負った聴衆の傷口を包み込みつつ、はたまた、おおらかに歌い飛ばしてくれる。

全17曲、どれもがシングルカットできるほどクオリティが高い。4つのカバー曲のうち、ボブ・ディランの『メイク・ユー・フィール・マイ・ラヴ』の歌唱は切ない情感にあふれ鳥肌ものの秀逸さ。この1曲を聴くだけでも価値がある。





DVDではCDでカットされているアデルのマシンガン・トークと、ラスト2曲、代表曲『サムワン・ライク・ユー』と『ローリング・イン・ザ・ディープ』のサビで会場が大合唱に包まれる一体感が堪能できる。

20年後、アデルはまだ43歳。こちらは・・・・終(つい)のfavorite singerになる可能性、大なーのだ。


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       ▲ブレイク前で靴が買えなかった頃のアデル。公式サイトから取れて移設






by kzofigo | 2012-03-30 23:51 | ミュージック・ブック