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開平の日

同級生Nが3年10か月にわたる闘病生活を経て

めでたく社会復帰できてしみじみと感慨にふけられるのも、

左アキレス腱断裂を克服したのちセリエA1デビューを果たし

女子バレー全日本代表に見事カムバックした狩野舞子に声援を送れるのも、

シャーデーの2枚組ベストアルバム・ディスク2から漂ってくる大人の哀愁に溜息をつけるのも、

薄くなってきた頭頂部を幽体離脱視してスカルプ・シャンプーに替えてみようかなと悪あがきできるのも、

美星町で見上げた夜空に連なる北斗七星がちゃんと7つあることに無邪気に微笑むことができるのも、

サッカー「なでしこジャパン」や「男子五輪代表」や「ザックジャパン」の躍進にガッツポーズできるのも、

京都「五山送り火」で被災松を使う件の結論が二転三転したことに怒りを覚えるのも、

20数年ぶりに高校の同窓会に出てすでに孫がいるクラスメートに驚いたり

同じエピソードを何回聞いても腹の底から笑い転げられるのも、


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テレビモニターにBSケーブルだけを繋ぎくだらない地上波の番組を見なくてすむのも、

「中世夢が原」に続く丘陵地のワインディングロードを

燃費16キロを叩き出す軽四マニュアル・ターボ車で快走できるのも、

ジョー山中・前田武彦・日吉ミミの逝去でますます遠くなる昭和に寂寞の念を感じてしまうのも、

朝日新聞の「被災地から」欄で被災者たちのさまざまな心情に触れ人生の哀歓をともにするのも、

すべて66年前の今日、昭和20年8月15日の敗戦が源泉だと思う。

その後の混沌と復興、繁栄、停滞、難渋がもたらした奔流の挙げ句に今の今の今があるんだろう。

バルコニーに出て、蝉時雨のなか、

祖父が散ったインパールがある南東に向かって何も願わず手を合わせた。

祖父の命の木霊が返って来た。

ホンマに生きとるんは、お前かワシか?

頬を撫でる早朝の風に微かな秋の気配がした。

by kzofigo | 2011-08-15 12:42 | マイ・ライフ