8月の熱いムービー [4]
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郷里の丹波篠山で塾講師として働く波多野(仲村トオル)は、元教え子ゆかり(南沢奈央)の行方を追って12年ぶりに上京する。かつて名門校・敬愛女学園の教師だった彼は、生徒の雅子(小西真奈美)との恋愛がスキャンダルとなり、高校を追われた過去を引きずっている。ゆかりのマンションを訪れた波多野は、そこで何者かが物色した痕跡を発見。失踪の背後に何か事件が関わっていると感じる。その後、元妻の雅子が切り盛りしているバーへたどり着き、長い歳月を経て再会を果たす2人。その再会をきっかけに、波多野はさらなる事件の渦中に巻き込まれていく…。
(2010年11月20日公開/日本映画/阪本順治監督) Watching Day 5/28
製作:黒澤満、撮影:仙元誠三、脚本:丸山昇一とくれば、松田優作を主演に映画『処刑遊戯』やTV版『探偵物語』を世に送り出していたセントラル・アーツである。30年前のスタッフ陣に、監督を村川透から阪本順治に替えてのハードボイルド・サスペンス。
もうね、女優・小西真奈美を観ているだけで、いい! 六本木にあるバーのママ役、その艶(あで)姿には1週間に10日通いたくなる色香がプンプンしているではないか。とくに髪を結い上げた和装には肝の据わった男衆もクラクラだろう。着物だけに。その後に出てくる洋服姿との対比もママとオフの日に逢瀬を決め込んでいるようでナイス。さらに、相当ポイントが高い濡れ場も披露してくれるなんて! トオルの責めと挿入に汗をかいた苦悶の表情とコレはモーたまらん喘ぎ声で応えてくれてありがとう。目一杯、顔に寄ったカメラワーク、阪本順治ありがとう。師匠の井筒和幸には「シモを撮らんかい!」って怒られるだろうけど。
窪塚洋介、菅田俊、佐藤江梨子、谷村美月、杉本哲太、ARATA、江波杏子、石橋蓮司…と、とりとめがない豪華なキャストも見ものだよ。悪徳刑事をクールにひょうひょうと演じている窪塚洋介がやっぱりいいね。セリフがどれをとっても「窪塚的」でニヤリとする。プライベートやクラブだけでなく、もっと映画で楽しませてちょ。
★★★☆☆
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街のなかを流れる大きな川、いくつもの小さな川や湧き水。さまざまな水系を持つ、日本の古都・京都に3人の女たちが暮らし始める。ウイスキーしか置いていないバーを営むセツコ(小林聡美)。疎水沿いにコーヒー屋を開くタカコ(小泉今日子)。そして、水の中から湧き出たような豆腐を作るハツミ(市川実日子)。3人の女たちに反応するように、そこに住む人たちのなかにも新しい水が流れ始める。家具工房で働くヤマノハ(加瀬亮)、銭湯の主人オトメ(光石研)、オトメの銭湯を手伝うジン(永山絢斗)、そして「散歩する人」マコト(もたいまさこ)。そんな彼らの真んなかにはいつも機嫌のいい子ども、ポプラがいた…。
(2010年10月30日公開/日本映画/松本佳奈監督) W.D. 6/1
これは架空の映画である。松本佳奈という新人監督も架空の人かも知れない。映画本編よりも、文字がタテ組みで凝った作りの「公式サイト」のほうが出来がよいという珍しいケース。女性コピーライターが書いたとおぼしき美文(←皮肉)も、映画に内容が伴っていないため、大きく空回りしているのが残念。中身をカラッポにして、観る人が自分なりに意味づけできる余地を全面的に残してくれた親切な作品だ。
小林聡美、小泉今日子、市川実日子、光石研、もたいまさこ…とくれば『すいか』である。この映画は『すいか』番外編だ。ポプラは高橋克実だろう。あるいは、町を流れる川は「三途の川」だ。マコトが番人でオトメとヤマノハがその手下。セツコ、タカコ、ハツミはあの世へ往くまでの待ち時間を過ごしていて、ジンにはその時が迫っている。ポプラはもちろん天使である。パセリ商会も粋なことをやってくれるね。京都である必要がどこにもないじゃん!
★☆☆☆☆
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西暦2019年。かつて世界中を襲った疫病により、人類の大半はヴァンパイアへと変貌していた。知性を備えたヴァンパイアたちは、注意深く太陽光線を避けながら新たな生活秩序を構築したが、すぐさま深刻な社会問題が持ち上がる。ヴァンパイアへの食料供給源である旧来の人間が全人口の5%にまで減少し、血液が枯渇し始めたのだ。ヴァンパイアでありながら人間的な良心を保つ血液研究者エドワード(イーサン・ホーク)は、絶滅寸前の人間を救うため、巨大製薬会社で代用血液の開発を急いでいた。ある夜、エドワードは追われていたレジスタンスの人間たちを助ける。レジスタンスから信用されたエドワードは、彼らに呼び出された。そこで待っていたのは、ある事故で人間に戻った元ヴァンパイア(ウィレム・デフォー)だった…。
(2010年11月27日公開/豪州・米国映画/ピーター&マイケル・スピエリッグ兄弟監督) W.D. 6/4
『ブラッド・シンプル』『バートン・フィンク』『ファーゴ』『ノーカントリー』のジョエル&イーサン・コーエン兄弟や『マトリックス』のラリー&アンディ・ウォシャウスキー兄弟など「兄弟監督」の活躍が喧(かまびす)しい。「間宮兄弟」は違いますね。リドリー&トニー・スコット兄弟が組めばどんな超大作が生まれるんだろう。『デイブレイカー』はサバイバル・ホラー『アンデッド』で注目を浴びた豪州の双子兄弟ピーター&マイケル・スピエリッグ監督のハリウッド進出作。
単なるヴァンパイア映画じゃない。ヴァンパイアになった動機が「疫病で死ぬのが怖いから」だったり、ヴァンパイアになっても「永遠の生には耐えられない」と自殺する者が出たり、「人の血はもはや巨額のビジネス」と目論むチャールズ・ブロムリー(サム・ニール)のような冷徹非道の経営者がいたりと、苦悩や葛藤、欲望など人間味にあふれていながら映像がスタイリッシュ。斬新な舞台設定と映像感覚を持ったヴァンパイア映画、ホラー映画のニュータイプだ。世界観がユニークなうえに、アクション、特殊効果、配役・演技も面白い。
ただし、エドワードが人間のレジスタンスに出会ってからは面白さがスピードダウン。ウィレム・デフォーの持つ異端ぶりが変な方向で発揮されいるし、「ヴァンパイアを人間に戻す治療法」をエドワードが偶然発見してからは展開がグダグダ。希望を持たせて終わるラストも安易な感じ。「詰め」がよければ最高だったのになあ。ところで、ヴァンパイアは「不死」だからタバコを吸っても肺ガンにならないんだろうね。エドワードはじめヴァンパイアたちがスパスパ吸っているのを見て羨ましくなった。ヴァンパイアになりたいな…と少し思った。
★★★★☆
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ペンシルバニア州のとある操車場に停車中の最新式貨物列車777号が、整備士の人為的ミスによって無人のまま走り出してしまった。積荷は大量の化学薬品とディーゼル燃料。操車場長のコニーはとてつもなく深刻な事態が発生したことを認識し、州警察に緊急配備を依頼する。その頃、勤続28年のベテラン機関士フランク(デンゼル・ワシントン)と職務経験4か月の車掌ウィル(クリス・パイン)は、この日初めてコンビを組み、旧式機関車1206号に乗り込み職務に就いていた。事態を察知したフランクは、ウィルとともに、決死の覚悟で暴走列車に立ち向かう…。
(2011年1月7日公開/アメリカ映画/トニー・スコット監督) W.D. 6/5
通算5回目となるトニー・スコットとデンゼル・ワシントンのコラボ。2001年5月にオハイオ州で発生した貨物列車暴走事故をもとに制作されたそうだ。細かいカットの切り返しや大仰ともいえる映像装飾が特徴のトニー・スコット。しかし、この映画では、「無人の暴走列車をいかに止めるか」というだけの内容で、娯楽に徹し、90分ノンストップで描き切っている。CGに頼ることなく、贅肉を削ぎ落としたストイックな作りがすがすがしいほど潔く、スカッと楽しめた。
要所要所で暴走を食い止める策が打たれる山場があるが、列車を追走するネッド(リュー・テンプル)の四駆を使って、ウィルが列車に昇降するアクロバティックなシーンに一番興奮した。観終わった後に何も残らない。けれど、観ている間は画面に釘付け。娯楽映画の王道を行く作品だ。 最近、ハリウッドのアクション映画には、「家族の再生劇」がエピソードとして必ずと言っていいほど挟み込まれる。この映画の2人に関しては、それなしのアクション・オンリーで突っ走ってほしかった。
ウィル役のクリス・パインが、『ボトル・ドリーム カリフォルニアワインの奇跡』の道楽息子ボーと同一人物とはとても思えない精悍さ。面白い俳優だな、クリス・パイン。
★★★★☆
by kzofigo | 2011-08-07 18:43 | ムービービーム























