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8月の熱いムービー [2]

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イラクでトラック運転手として働く米国人ポール・コンロイ(ライアン・レイノルズ)は、ある日突然、2人黙るの…じゃなくて、何者かに襲撃され、気づくと地中に埋められた棺桶のなかにいた。手元にあるのは携帯電話、ZIPPOのライター、ナイフ、ペン、酒、そして残りわずかの酸素のみ。タイムリミットが迫るなか、ポールは必死に脱出の可能性を探るが…。
(2010年11月6日公開/2009年製作・スペイン映画/ロドリゴ・コルテス監督) Watching Day 4/14

地中の棺桶に閉じ込められた男の脱出劇がほぼ全編暗闇のなかで描かれる異色シチュエーション・サスペンス。僕は閉所&狭所恐怖症なので、この映画の設定は発狂必至。覚悟を決めて観た。が、杞憂だった。カメラの入る空間が確保されているからだ。助かった。しかし、ポールが助かるかどうかはわからんぞ~ 最初から最後まで、寝転んだままのひとり芝居。主人公以外の登場人物は電話の声だけ。徹底している。ポールは妻や警察や雇い主やFBIや米国国務省など手当たり次第に電話しまくるんだけどラチが明かない。そこに、彼を埋めたテロリストから連絡が入り、「500万ドル払え」と身代金を要求される始末。

やっとこさ、在イラク米国政府機関のダン・ブレナーなる男につながり光明が…と思うも、このダンが食わせ者だった。ポールに次から次へと難題が降りかかり、彼の努力もしくは偶然に助けられ、難を逃れる。緊迫感は90分間途切れない。ただオチに救いがなく、皮肉な小ネタで、あまりにも軽い。これだけすったもんだした挙句の結末なんだから、もっとドッカーンとくるエンディングで圧倒されたかった。物足りなさで窒息死寸前だ。カメラ班、照明班は大変な作業を強いられただろう。その労苦の成果は観る価値あり。題名は原題『Buried』(bury=埋める、埋蔵・埋葬する)を生かして『生き埋め』でよかったんじゃないの?
★★☆☆☆


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芦名星めあてで観ました。七瀬が芦名星じゃなければ観てないと思う。

人の心のなかを読む能力(テレパス)を持つ火田七瀬(芦名星)は、その能力を人に知られることを恐れ、家政婦の仕事をして家庭を転々としていた(ここまでは七瀬3部作の第1作『家族八景』より)。ところが数年後、同じくテレパスの7歳の少年ノリオ(今井悠貴)、自分の念を送り込むことによって対象物を動かすテレキネシスの黒人青年能力者ヘンリー(ダンテ・カーヴァー)、水族館に勤めるタイムトラベラーの藤子(佐藤江梨子)たちと次々にめぐり会う。しかし、能力者の絶滅をもくろむ暗黒組織の魔の手が迫ってくるなか、七瀬と仲間の能力者たちは次第に追い詰められていく。そんな折、七瀬が密かに愛していた予知能力者の岩淵了(田中圭)も、悲しい愛のメッセージを残して組織の凶弾に倒れてしまう。「わたしたち、どうして生まれて来たんだろうね…」。能力者たちは苦悩しながらも、最強の敵に立ち向かうことを決意する。果たして七瀬たちの運命は……?
(2010年10月2日公開/日本映画/小中和哉監督) Watching Day 4/15

筒井康隆の最もポピュラーな作品である七瀬3部作(『家族八景』『七瀬ふたたび』『エディプスの恋人』)。そのなかでも最もエンタテインメント性の高い作品『七瀬ふたたび』は1975年に単行本化され、1979年のNHK少年ドラマシリーズをはじめ5回映像化されている。

今回の映画『七瀬ふたたび』は、原作に忠実に描くことを重視した初の劇場作品。ただし脚本自体は映画化の10年前に完成していた。原作の連載が開始された1972年との時代背景の違いを理由に、結末は大きく異なっている。映画化が難航した一因だった七瀬役は、原作の印象に近いクールビューティが買われて、芦名星が抜擢された。筒井康隆は「芦名星は最も七瀬らしい七瀬」と評しているが、「そこしか言及でける部分がないんやもん」というのが真相らしい…。

なお、『東京少女』『四月怪談』の監督・小中和哉は黒沢清監督の(懐かしー ⇒)『ドレミファ娘の血は騒ぐ』(1985年)に出演している。


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とにかく地味なSF映画だ。ゴレンジャーとか戦隊ものに毛が生えたような感じ。芦名星は立ち姿がさまになってない。舞台で6本もヒロイン役を経験しているのに(そのうち3本は朗読劇だけど)。もっともっと舞台でもまれて、そこに居るだけで、立っているだけで、華のある女優になってほしい。

顔に当たり外れのある佐藤江梨子はBUSUのほうの顔だし、さしてイケメンとは思えない田中圭を七瀬の恋人役にキャスティングした神経がわからんし、ダンテ・カーヴァーはソフトバンクCMのイメージが強すぎるうえに演技以前の問題だし、暗黒組織の首領・吉田栄作は地味すぎて粉ふいてるし、みんなまとめてミスキャストの谷底へ突き落としたい衝動に駆られて困った。どんな映画でもベストを尽くそうとする平泉成がかわいそうだ。

しかし!七瀬が日銭の稼ぎ先、モナコのカジノで出会い、初めて心を開く友人・瑠璃役の前田愛が素晴らしい。子どものときからドラマで主役を張ってきただけのことはある。演技のクオリティが3段階ぐらい違う。クオリティが!彼女の名演と芦名星のクールビューティに星2つおまけしよう。

劇場では、本編前に10分間の短編映画『七瀬ふたたび 〜プロローグ〜』が上映されたそうだ。これは本編の前日談に当たり、筒井康隆の大ファンであった中川翔子の初監督作品!! 主演の芦名星のほか、NHK少年ドラマシリーズで七瀬を演じた多岐川裕美が母親役で出演している。この、しょこたんの短編の出来がいいらしい。レンタルDVDにも収録しておいてほしかった。「前回までのあらすじ」がすっぽり抜けたように、いきなりな展開でくり広げられちゃうんで。本編は。

1998年に『七瀬ふたたび 超能力者・完全抹殺』のタイトルで放送されたテレビ東京ドラマシリーズ版(月曜24:45~25:15)は、前番組が『うしろの百太郎』で、次番組が『つげ義春ワールド』。さすがテレ東。渋い。前後を含め、見たかったなあ。
★★☆☆☆


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ニューヨークに住む高校生デイブ(アーロン・ジョンソン)。コミックオタクでスーパーヒーローに憧れる彼は、ある日、「誰もがスーパーヒーローを好きなのに、なぜ誰もスーパーヒーローになりたがらない?」と思い立ち、インターネットで買ったスーツとマスクで、ヒーローとして街で活動を始める。何の能力も持たない彼はあっさり犯罪者にやられるも、捨て身の活動がネット上にYOU TUBEで流され、「Kick-Ass(キック・アス)」の名で一躍有名になってしまう。やがて、傷だらけになりながらもキック・アスとしての活動を続けるデイブの前に、同じ稼業のビッグ・ダディ(ニコラス・ケイジ)とヒット・ガール(クロエ・グレース・モレッツ)が現われる。
(2010年12月18日公開/米国・英国映画/マシュー・ボーン監督) Watching Day 4/20

アクション。ストーリー。カット割り。どれをとってもナイスセンス。かっこよく、目を惹きつけられる。「正義」を追い求め、「正義」の名のもとに復讐し、「正義」を悪用するヒーロー。さまざまなヒーロー像を観ることができ、まったく飽きさせることがない。コミックの実写版なのにR15指定されているとおり、手足が切断されたり、頭が熟れたスイカのように吹き飛ばされたりと、過激でエグいシーンも多々ある。しかし、スピード感を途切れさすことなくアクションシーンの流れに取り込んでいるから、嫌悪感を抱かずに済む。ヒット・ガールが披露する空中でのリロード(弾丸を銃に再装填すること)や、2丁拳銃の技など鮮やかな銃撃シーンは見どころのひとつ。単純に爽快感が得られるうえに、父と娘の絆を描いた深みもあり、しかも笑える、単なる痛快アクションではないヒーロームービーの新機軸、登場だ。

早くも『Kick-Ass 2: Balls to the Wall』のタイトルで2012年公開予定と発表されている。続編に期待! また、全世界で多数の映画賞を受賞し話題となったスウェーデン映画『ぼくのエリ 200歳の少女』(←名作)のリメイク版、『ザ・ロード』のコディ・スミット=マクフィーとクロエ・グレース・モレッツが主演する純愛スリラー『モースル』が8月5日(金)から公開される。すでにスティーヴン・キングが2010年映画ベスト10作品の1位に選出。「この20年のアメリカでナンバーワンのスリラー」と絶賛している。こちらも期待大だ。
★★★★☆


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日本コカ・コーラ社が発売してるレモンライムテイストの炭酸飲料が飲みたい? それスプライトじゃけん!

科学者の夫婦、クライヴ(エイドリアン・ブロディ)とエルサ(『死ぬまでにしたい10のこと』のサラ・ポーリー)は、法と倫理を無視して、禁断の実験に身を投じてしまう…それは、人間と動物のDNAを配合して、「ハイブリッド・アニマル(新生命体)」を創り出すことだった。実験は成功し、2人は誕生した「新生命体」に〈ドレン〉と名づけ、秘密裏に育てていく。やがてドレンは急速に美しい女性に成長するが、彼女の進化は止まらず、2人の想像を超える変貌を遂げ、手に負えないモンスターと化してしまう…。
(2011年1月8日公開/カナダ・フランス映画/ヴィンチェンゾ・ナタリ監督) Watching Day 4/28

天才科学者カップルがDNA操作により新種の生命体を誕生させる。その行方を、『CUBE』のヴィンチェンゾ・ナタリ監督が、観る者の度肝を抜く強烈なビジュアル世界で描き出したショッキング・スリラー。前半は、『スピーシーズ』をもっと現実的にしたような展開。でも、誕生した新生命体のルックスは相当なインパクトがあり、ちょっぴり嫌悪感を感じる、「キモかわいい」系。原案・脚本からタッチしているナタリ監督は、後半から大胆なアイデアを仕込んだ。成長速度が増すのは常套手段だが、監督はこれに大技のヒネリを加えたのだ。

そこからはクライヴの肉欲と、過去のトラウマに支配されたエルサの狂気と、ドレンの生存本能が渦巻くえげつないモンスター映画の様相を呈していく。登場人物が最小限度なだけに、それぞれの人間的な背景にもう少し深く踏み込んでおけば、SF映画の傑作になり得る可能性はあったと思う。残念。やはりエイドリアン・ブロディは『プレデターズ』のようなマッチョな役より、こういう押しに弱い科学者みたいな役がお似合い。タイトルの『スプライス』とは「合体・結合」の意味。R15指定なのは合体シーンに問題アリなんだろうな。
★★★☆☆

by kzofigo | 2011-08-02 23:40 | ムービービーム