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8月の熱いムービー [1]

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関東一円を取り仕切る巨大暴力団組織・山王会組長の関内(北村総一朗)が若頭の加藤(三浦友和)に、直参である池元組の組長・池元(國村隼)のことで苦言を呈す。そして、加藤から直系ではない村瀬組を締め付けるよう命令された池元は、配下である大友組の組長・大友(ビートたけし)にその厄介な仕事を任せる。こうして、ヤクザ界の生き残りを賭けた壮絶な権力闘争が幕を開けた。
(2010年6月12日公開/日本映画/北野武監督) Watching Day 2011/4/8

監督・脚本・編集、北野武。タイトルの意味は、極悪非道。北野版「仁義なき戦い」である。深作作品が熱を帯びていたのに反し、北野映画はどこまでも冷徹。これまでの静かな北野映画とは異なり、セリフ量が多く、怒号が飛び交う。しかし、冷たい舞台の上ではドスを利かせてもセリフは上滑りする。ヤクザ映画として『3-4X10月』や『ソナチネ』を超えていないと思う。

男たちの群像劇ならビートたけしも出演の石井隆監督『GONIN』のほうがズキズキきた。日本映画界にとって根津甚八の不在は大きい。主演のビートたけしのほか、三浦友和、椎名桔平、加瀬亮、國村隼、杉本哲太、塚本高史、中野英雄、石橋蓮司、小日向文世、北村総一朗と出演者は豪華だが、ヤクザに見えない俳優が多いのは致命的。セリフはキレまくっているが、映像にもっと革新的なキレを!
★★★☆☆


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大学入学のため仙台に引っ越してきた椎名(濱田岳)は、奇妙な隣人の河崎(瑛太)に出会う。初対面だというのに河崎は、同じアパートに住む孤独なブータン人留学生に広辞苑を贈るため、本屋を襲おうと大胆な計画を持ちかける。そんな話に乗る気などなかった椎名だが、翌日、モデルガンを片手に書店の裏口に立っていた…。
(2007年6月23日公開/日本映画/中村義洋監督) Watching Day 2011/4/10

伊坂幸太郎の同名小説を中村義洋監督が映画化。この後も、『フィッシュストーリー』『ゴールデンスランバー』と伊坂作品を中村監督は高いレベルで仕上げる。中村義洋は伊坂幸太郎の専属監督にすべき。この映画はトリックが実に巧みで、切なく、温かく、ほほ笑ましい。だまされて幸せな気分になる。中村作品のレギュラー・濱田岳が「押しに弱い学生」というぴったりの役。瑛太も難役をひょうひょうと好演。関めぐみ、松田龍平、大塚寧々もそれぞれに味がある。ボブ・ディラン『風に吹かれて』を聴くと、この映画を思い出しそうだ。伊坂原作の映画では一番好きかもしれない。どんでん返しでネタが割れてからのバラし方が鮮やか。
★★★★☆


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大切なものが少しずつ失われていく毎日に、嫌気がさしている女子高校生のワラ(石原さとみ)は、ある日、病院の屋上のフェンスを乗り越えようとする。そのとき、奇妙な関西弁を話す入院患者の少年ディノ(柳楽優弥)が、突然ワラの前に現われる。手首に傷を負ったワラの心の傷を見抜いたディノは、ワラの手首からほどけ落ちた包帯をフェンスに結びつける。風にたなびく包帯を見たワラは、心の傷までもが癒される気がした。ワラは、ディノをはじめ親友のタンシオ(貫地谷しおり)やギモ(田中圭)、テンポ(関めぐみ)、リスキ(佐藤千亜妃)を巻き込んで、「包帯クラブ」を結成する…。
(2007年9月15日公開/日本映画/堤 幸彦監督) Watching Day 2011/4/11

「他人の傷に包帯を巻く」…そんなささやかだけどポジティブな試みを始めた若者たちの青春ストーリー。天童荒太の書き下ろしを、堤幸彦監督が映像化。「傷の本当の痛みは、当人にしかわからない」と言いつつも、他人の痛みを自分の傷のように感じてしまう繊細な主人公たちは、やがてしなやかな強さと傷の癒し方を見つけていく。脚本が不出来で映画としてはもう一歩だが、演技の巧拙を無視し、壊れた関西弁を速射しながら、エキセントリックな行動をくり返すディノの破天荒さがそれを凌駕している。一歩間違えばイタい行為でも彼はやってのける。そこに容赦ないツッコミを打ち込むワラとの関係が痛快。誰もが味わってきた十代特有の「有限のピュアさ加減」がうまく表わされいて、甘く切ない気持ちになれる。
★★★☆☆


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ライターの「俺」(伊勢谷友介)は、「月刊 黒い話」の美人編集長(水野美紀)から「一度死んでも生き返れるという“死にモドキ”を使って、臨死体験をルポしろ」という突拍子もない依頼を受ける。「俺」はアル中のオルゴール職人エンドー(松尾スズキ)を無理矢理巻き込み、まずは“死にモドキ”調査中に消息を絶った、カメラマンの真島(松重 豊)を探し始める。2人は、元SM嬢でリストカット・マニアのサヨコ(菊池凛子)や、おかしなヤクザ(岩松 了)&その子分(ふせえり)らと遭遇しながら“死にモドキ”を捜索するが…。さて、“死にモドキ”の正体は? そして命懸けのルポはどうなるのか?
(2007年6月23日公開/日本映画/三木 聡監督) Watching Day 2011/4/12

伊勢谷友介のハチキレぶりは『十三人の刺客』の伏線のようだし、松尾スズキは非常に苦手な役者なのにこの映画の彼は引きの芝居で好きだし、菊池凛子はこのワケがわからなさこそ彼女の真の姿なりと思うし、三木組役者たちといえば、岩松了とふせえりのデフォルメされたヤクザ風情は苦笑もので松重豊のオトボケぶりは規格外だし、笹野高史や三谷昇、渡辺裕之、志賀勝、高橋惠子、片桐はいり、嶋田久作などメジャーな役者が差し出す小ネタには「ごっつあんです」だし、園子温をはじめ知る人ぞ知るマイノリティな人々のチョイ役には投げキッスもんだし、

いつもより3割増しの「あり得ない」設定も、寄り道ばかりしているストーリー展開も、随所に散りばめられた下ネタやダジャレ中心ギャグも、独特の色彩センスによる過剰にレトロでド派手な衣装や大量の大道具・小道具も、ガハハのハと心底楽しめてしまうのはなぜだろう? それは、これが三木聡の真骨頂ムービーだからだ。三木聡ワールド炸裂度ナンバーワン映画ではないだろうか。

ソングがオープニングテーマ『EVERYBODY’S UP TO SOMETHIN’』(ブライアン・セッツァー)、挿入歌『マヨナカベル』(Leyona)、主題歌『夏の手紙』(ナイス橋本)と贅沢だぞ! 「ズカチュー」最高!!
★★★★★★★★★★

by kzofigo | 2011-08-01 11:24 | ムービービーム