Kiss Of Life
◎CDレビュー
アルティメイト・コレクション
シャーデー
時代に流されない「空気感」が心地よい、17年ぶりのベストアルバムで時を忘れる。

デビュー前から、トレンド・バロメーターの雑誌『ザ・フェイス』の表紙を飾ったファッション・アイコン、シャーデー・アデュをフロントウーマンに擁する英国4人組のグループ、シャーデー。四半世紀以上にわたり不動のラインナップで、ひとつのヴィジョン、スタイル、美学を追い続ける。同じことはくり返さず、穏やかに確実に変化を遂げ、独自のペースでアルバムを送り出す。
ボーカリストでありソングライターのアデュのその時々のパーソナルな心情を詞に反映させ、必要なだけの時間をレコーディングに費やす。そして、いったんアルバムが完成すると、最低限のツアーとプロモーションをやるのみで、スポットライトより静かな普通の生活を重んじる。
にもかかわらず、1984年のデビュー・アルバム『ダイヤモンド・ライフ』から、『プロミス』(1985年)、『ストロンガー・ザン・プライド』(1988年)、『ラヴ・デラックス』(1992年)、『ラヴァーズ・ロック』(2000年)、2010年の最新作『ソルジャー・オブ・ラヴ』まで6枚しかないスタジオ作品すべてがマルチミリオンセールスを達成。
アルバムの総売上枚数は5000万枚以上。グラミー賞3度受賞。今や、アーティストの在り方の究極の理想形として、若手ミュージシャンたちが畏敬の念を抱いて4人を眺めている。
▼20代半ば。中目黒、六畳一間の一戸建ち。この2枚はアナログ盤で持っていて、よく聴いたなあ

このベストアルバムでは、CD2枚に全29曲を収録。うち4曲はシン・リジィ傑作バラードのカバーを含む新曲・新録。アルバム全体の内容は決して甘くない。東日本大震災のチャリティ・アルバムに提供された『バイ・ユア・サイド』もある。重病・難病と闘う子どもたちとその家族、失業問題と人間の尊厳、ソマリアの貧困、人種差別など社会的なテーマを扱ったナンバーも並ぶ。
音は総じて心地よい。ソウルやジャズ、R&B、AOR、ファンク、ダンスといった音楽を包括した、相変わらずハスキーなアデュの歌声と、無駄をそぎ落とした美しくスタイリッシュなバンドサウンドは、時間が経つのを忘れさせてくれるに違いない。
前半のアルバム収録曲、とくに1990年代を代表するポップチューン『キス・オブ・ライフ』を収めた「ディスク1」は太陽、後半のアルバムからビターな曲調のナンバーを多く集めた「ディスク2」は月という印象を受ける。藤原新也流に言えば、「ディスク1」は生命(いのち)をやしない、「ディスク2」は死想をやしなってくれるだろう。
今は「ディスク2」のほうがより深く心に沁みる。
※シャーデー・アデュ…1959年1月16日ナイジェリア・イバダン生まれ ←タメなのだ
ナイジェリア・ヨルバ族出身の父、英国人の母のもとに生まれる。アデュが4歳のとき、両親が離婚し、母に連れられて英国へ帰国。少女時代のアデュはカーティス・メイフィールドやマーヴィン・ゲイを好んで聴いていたそうだ。
Sade - By Your Side - Video
http://youtu.be/Mq4c5K35WvA
アルティメイト・コレクション
シャーデー
時代に流されない「空気感」が心地よい、17年ぶりのベストアルバムで時を忘れる。

デビュー前から、トレンド・バロメーターの雑誌『ザ・フェイス』の表紙を飾ったファッション・アイコン、シャーデー・アデュをフロントウーマンに擁する英国4人組のグループ、シャーデー。四半世紀以上にわたり不動のラインナップで、ひとつのヴィジョン、スタイル、美学を追い続ける。同じことはくり返さず、穏やかに確実に変化を遂げ、独自のペースでアルバムを送り出す。
ボーカリストでありソングライターのアデュのその時々のパーソナルな心情を詞に反映させ、必要なだけの時間をレコーディングに費やす。そして、いったんアルバムが完成すると、最低限のツアーとプロモーションをやるのみで、スポットライトより静かな普通の生活を重んじる。
にもかかわらず、1984年のデビュー・アルバム『ダイヤモンド・ライフ』から、『プロミス』(1985年)、『ストロンガー・ザン・プライド』(1988年)、『ラヴ・デラックス』(1992年)、『ラヴァーズ・ロック』(2000年)、2010年の最新作『ソルジャー・オブ・ラヴ』まで6枚しかないスタジオ作品すべてがマルチミリオンセールスを達成。
アルバムの総売上枚数は5000万枚以上。グラミー賞3度受賞。今や、アーティストの在り方の究極の理想形として、若手ミュージシャンたちが畏敬の念を抱いて4人を眺めている。
▼20代半ば。中目黒、六畳一間の一戸建ち。この2枚はアナログ盤で持っていて、よく聴いたなあ


このベストアルバムでは、CD2枚に全29曲を収録。うち4曲はシン・リジィ傑作バラードのカバーを含む新曲・新録。アルバム全体の内容は決して甘くない。東日本大震災のチャリティ・アルバムに提供された『バイ・ユア・サイド』もある。重病・難病と闘う子どもたちとその家族、失業問題と人間の尊厳、ソマリアの貧困、人種差別など社会的なテーマを扱ったナンバーも並ぶ。
音は総じて心地よい。ソウルやジャズ、R&B、AOR、ファンク、ダンスといった音楽を包括した、相変わらずハスキーなアデュの歌声と、無駄をそぎ落とした美しくスタイリッシュなバンドサウンドは、時間が経つのを忘れさせてくれるに違いない。
前半のアルバム収録曲、とくに1990年代を代表するポップチューン『キス・オブ・ライフ』を収めた「ディスク1」は太陽、後半のアルバムからビターな曲調のナンバーを多く集めた「ディスク2」は月という印象を受ける。藤原新也流に言えば、「ディスク1」は生命(いのち)をやしない、「ディスク2」は死想をやしなってくれるだろう。
今は「ディスク2」のほうがより深く心に沁みる。
※シャーデー・アデュ…1959年1月16日ナイジェリア・イバダン生まれ ←タメなのだ
ナイジェリア・ヨルバ族出身の父、英国人の母のもとに生まれる。アデュが4歳のとき、両親が離婚し、母に連れられて英国へ帰国。少女時代のアデュはカーティス・メイフィールドやマーヴィン・ゲイを好んで聴いていたそうだ。
Sade - By Your Side - Video
http://youtu.be/Mq4c5K35WvA
by kzofigo | 2011-07-23 22:14 | ミュージック・ブック























