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瓢箪から駒

MOVIX倉敷で『プリンセス トヨトミ』を観て来た。


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国家予算が正しく使われているかを調べる会計検査院の調査官3人が、東京から大阪にやってきた。税金の無駄遣いを許さず、調査対象を徹底的に追い詰め「鬼の松平」として怖れられている松平元(堤真一)。その部下で、天性の勘で大きな仕事をやってのけ「ミラクル鳥居」と呼ばれている鳥居忠子(綾瀬はるか)、日仏のハーフでクールな新人エリート調査官、旭ゲーンズブール(岡田将生)。大阪府庁など、実地調査を順調に進めていく彼ら。容赦ない調査でチームリーダー・松平は、財団法人OJO(大阪城址整備機構)に奇妙な違和感を覚える。質問をぶつけても、のらりくらりと説明をかわす職員に、不信感は増すばかり。さらに調査を進めるうち、松平は…。

※瓢箪から駒…意外な所から意外な物が出ること。とうていありえないことのたとえ。

【主なキャスト】堤真一 綾瀬はるか 岡田将生 森永悠希 沢木ルカ 笹野高史 和久井映見 中井貴一 宇梶剛士 甲本雅裕 合田雅吏 村松利史 おかやまはじめ ト字たかお 菊池桃子 平田満 江守徹
宅間孝行(カメオ出演) 玉木宏(カメオ出演) 山本浩之・村西利恵・林弘典(関西テレビアナウンサー)

原作/万城目学「鹿男あをによし」『鴨川ホルモー』
監督/鈴木雅之「王様のレストラン」「ロングバケーション」「ショムニ」「古畑任三郎」「鹿男あをによし」    『GTO』『NIN×NIN 忍者ハットリくん THE MOVIE』『HERO』
脚本/相沢友子「やまとなでしこ」「鹿男あをによし」『大停電の夜に』『重力ピエロ』『東京島』
プロデューサー/土屋健「Dr.コトー診療所」「アテンションプリーズ」「鹿男あをによし」

☆要するに、脚本・監督・プロデューサーなどドラマ化された「鹿男あをによし」
同じスタッフで制作されている。


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とりあえず言いたいのは、劇中の中井貴一に、
菅直人と総理大臣を代わってほしいってこと。


笑顔ひとつで大阪×民を歓喜の渦に巻き込んでしまう。
ああいう庶民感覚とカリスマ性を併せ持つリーダーの降臨を切望する。

オープニング、無人の街と化した大阪を綾瀬はるかがおっぱいをユッサユッサさせて駆けめぐる。

「ラッツ&スター」のリーダーと同姓同名の監督は東京出身。だからだろう、ミナミを中心に新世界などディープサウス、お好み焼にたこ焼、串かつ、エレベーター内で他人を気にせずしゃべくり倒すおばはんたち、タイガースのはっぴが正装のおっちゃん…といった外様が「大阪らしい」と感じる大阪がこれでもかと頻出する。

リドリー・スコットが『ブレードランナー』で描いた未来都市を、『ブラックレイン』において道頓堀あたりで現実化しようとしたのに近い大阪だ。

学生時代を含め大阪に5年半、ご厄介になった身としては「やれやれ」といった感じ。井筒和幸やその舎弟・阪本順治が撮れば全然違ったホンマモンの大阪になっただろう。『ガキ帝国』『どついたるねん』『岸和田少年愚連隊』…あれが本当の大阪だ。けれど、世界に「いかにも大阪」を強く印象づけるのが目的だから、これでいいのだ。

堤真一(46)は兵庫県西宮市、中井貴一(49)は東京都世田谷区出身。その2人の出自が映画では逆転しているのが面白い。セリフはもちろん佇まいまでもきっちり「こうあるべき」な芝居を見せてくれているのは、さすがだ。織田裕二(43)あたりには到底、及びもつかない芸当だろう。

会計検査院の3人は順調に大阪での実地調査を進め、次の調査団体の所在地・空堀商店街へ。そこには、真田幸一(中井貴一)と竹子(和久井映見)夫婦が営む、お好み焼き屋「太閤」があって、女の子になりたいという店のひとり息子の中学生・真田大輔(森永悠希)を、大輔とは対照的に男勝りの幼馴染み・橋場茶子(沢木ルカ)がいつも守っている。

オーディションで選ばれたという沢木ルカは、アイドル時代の内田有紀を彷彿させる魅力があるけど、出演作が多いわりに、いかんせん演技が下手すぎる。「シャネルズ」のリーダーと同姓同名の監督は、彼女の演技に対してもっと粘ってほしかった。

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空堀商店街にある財団法人「OJO(大阪城跡整備機構)」。ここが大阪の別の顔につながるキーポイントで、
松平たちをのらりくらりとかわす経理担当の長曽我部役が、柄本明や岸部一徳、光石研、香川照之、山田孝之らと並んでオファーを断わらない俳優の最右翼・笹野高史。この映画ではセリフをたっぷりともらい重要な役割を担っている。

「OJO」…これが「大坂・夏の陣」以来400年にわたる歴史の裏側で綿々と受け継がれてきた「ある秘密」のカギを握るキーワード。関西史オタク作家・万城目学が仕掛けた、この映画の柱となる壮大なミステリだ。

そして、無人の街と化した大阪を綾瀬はるかがおっぱいをユッサユッサさせて駆けめぐる。

ユッサユッサおっぱいと並んで、最大の見せ場は松平と真田、堤真一と中井貴一がセリフだけで対決するクライマックスシーンだろう。5000人のエキストラを募って行なわれた、日本を代表する中堅男優の演技派2人が本領を発揮する山場は観ごたえ十分。それにしても堤真一のなで肩は強力だ。『レインマン』のトム・クルーズには負けるけれども、『コラテラル』のトムになら勝てるだろう。


▲この会見は笑える

万城目学はミステリにもうひとつ「親子」という妙味を盛っている。この仕掛けには感涙する観客も多いそうだが、僕もホロリとさせられた。テレビドラマゆえにディテールまで描けた『鹿男あをによし』に比べれば劣るけど、荒唐無稽な『鴨川ホルモー』よりは面白いと感じた。

綾瀬はるかのおっぱいユッサユッサ度が史上最高ではないだろうか!? 『おっぱいバレー』は観てないが井筒和幸が「あれは詐欺や!」と憤慨してた。「ダブル(吹き替え)でエエから見せろや!」と。おっぱい度では『プリンセス~』のほうが高いかもしれない。トンチンカンだけど仕事はきっちりこなす大飯喰らいの役柄も彼女にぴったり。

綾瀬はるかのおっぱいファンは必見だ。

★★★☆☆

by kzofigo | 2011-05-30 23:26 | ムービービーム