「おはパソ道上洋三」
おはようパーソナリティ 道上洋三のないしょ話
道上洋三/著
うつ病の療養中、昼夜逆転していた時期、早朝6:30~9:00でオンエアしている、朝日放送ラジオの生ワイド番組『おはようパーソナリティ 道上洋三です』にはお世話になった。それはともかく、同番組で34年間しゃべり続け、人の話に感銘を受けるのが早く、それを人に伝えるのが大好きな著者の心に仕舞われた内緒話に、この本では聞き耳を立てることができるのだから、ありがたい。
番組制作の原点になった在日韓国人女性とのつながり、白血病のために1985年の阪神タイガース優勝を見ずして逝った若者と彼の家族の悲喜こもごもといった、リスナーとのメールや手紙でのやりとり、こぼれ話。加山雄三や三波春夫、江夏豊、高石ともや、永六輔ほか番組ゲストや友人・知人との出会い……そんな宝モンのようなエピソードが満載だ。とくに永六輔との深い人生観を通わせたふれあいには胸が熱くなった。

やはり阪神淡路大震災に関して多くのページが割かれていて、被災したリスナーたちから「遠くの親戚より、近くのラジオ」と教えられる逸話が忘れられない。しゃべくりの都・大阪ならではの笑い話にも事欠かず、「まいど」の声のトーンで景気のよしあしをにおわせる「マイド・コントロール」の話や「ミミズは鳴くか」をめぐる喧々諤々のミミズ論争には爆笑。
「ラジオはええなあ」と改めて実感できる、著者が感銘を受けた、とっておきの逸話集であり、「どうしてもこの道でいきたい」と思ったものは全部挫折したのに、先輩・中村鋭一の急な降板で出演することになった早朝番組がなぜ35年も続いているのか。その謎が「ええ話や」というジワ~っとした感慨を伴って解かれる、打ち明け話の本でもある。
感涙度が極めて高いので、読む場所を選ぶことと、テッシュの用意を忘れずに。テレビは思考停止を増長するいっぽうだが、リスナーとパーソナリティが強い絆で結ばれ、想像力をかき立てるラジオのよさは35年経っても変わらんなあ。そして今朝も「きのう阪神ボロ負けやったけど、道上はん、大丈夫やろか?」と1008にチューニングを合わせるのであった(妄想)。
◆朝日新聞出版 1050円
▼おはパソ 公式サイト
http://abc1008.com/ohapaso/
道上洋三/著
うつ病の療養中、昼夜逆転していた時期、早朝6:30~9:00でオンエアしている、朝日放送ラジオの生ワイド番組『おはようパーソナリティ 道上洋三です』にはお世話になった。それはともかく、同番組で34年間しゃべり続け、人の話に感銘を受けるのが早く、それを人に伝えるのが大好きな著者の心に仕舞われた内緒話に、この本では聞き耳を立てることができるのだから、ありがたい。
番組制作の原点になった在日韓国人女性とのつながり、白血病のために1985年の阪神タイガース優勝を見ずして逝った若者と彼の家族の悲喜こもごもといった、リスナーとのメールや手紙でのやりとり、こぼれ話。加山雄三や三波春夫、江夏豊、高石ともや、永六輔ほか番組ゲストや友人・知人との出会い……そんな宝モンのようなエピソードが満載だ。とくに永六輔との深い人生観を通わせたふれあいには胸が熱くなった。

やはり阪神淡路大震災に関して多くのページが割かれていて、被災したリスナーたちから「遠くの親戚より、近くのラジオ」と教えられる逸話が忘れられない。しゃべくりの都・大阪ならではの笑い話にも事欠かず、「まいど」の声のトーンで景気のよしあしをにおわせる「マイド・コントロール」の話や「ミミズは鳴くか」をめぐる喧々諤々のミミズ論争には爆笑。
「ラジオはええなあ」と改めて実感できる、著者が感銘を受けた、とっておきの逸話集であり、「どうしてもこの道でいきたい」と思ったものは全部挫折したのに、先輩・中村鋭一の急な降板で出演することになった早朝番組がなぜ35年も続いているのか。その謎が「ええ話や」というジワ~っとした感慨を伴って解かれる、打ち明け話の本でもある。
感涙度が極めて高いので、読む場所を選ぶことと、テッシュの用意を忘れずに。テレビは思考停止を増長するいっぽうだが、リスナーとパーソナリティが強い絆で結ばれ、想像力をかき立てるラジオのよさは35年経っても変わらんなあ。そして今朝も「きのう阪神ボロ負けやったけど、道上はん、大丈夫やろか?」と1008にチューニングを合わせるのであった(妄想)。
◆朝日新聞出版 1050円
▼おはパソ 公式サイト
http://abc1008.com/ohapaso/
by kzofigo | 2011-05-24 00:47 | ミュージック・ブック























