恐るべし、ビリー・ジョエル 5/23
ライヴ・アット・シェイ・スタジアム
デラックス・エディション
ビリー・ジョエルのソロデビュー40周年を記念した、なんてことは重要ではない。大事なのは、このアルバムが、ロックが放つ魅力と神髄が凝縮された「すごい」としか言いようがない、逆転サヨナラ満塁本塁打的なライヴ盤の傑作であることだ。「ロックの聖地」である大リーグNYメッツの本拠地シェイ・スタジアム。2008年に取り壊しが決まり、その最後を飾るコンサートをビリー・ジョエルが行なったという幸運に感謝!である。

本作にはライヴで演奏されたであろう34曲から25曲が収録されている。日本で人気の『素顔のままで』『ストレンジャー』『オネスティ』『あの娘にアタック』『アップタウン・ガール』『さよならハリウッド』はライヴで演奏すらされていない。普遍的なリアリティと社会性と批判精神たっぷりの、ロックの本質を突いた硬派な選曲がなされている。
今回、シングルカットされなかった曲の数々を、DVDに映し出される訳詞を見ながら聴いて、ビリー・ジョエルが書く歌詞の、現実との絶妙な間合いに、しびれた。どれもが、ボン・ジョヴィ『Livin' On a Prayer』やトレイシー・チャップマン『fast car』のレベルに行っている。これぞロックだ。
『マイ・ライフ』『ハートにファイア』『ガラスのニューヨーク』『ピアノ・マン』をはじめとするナンバーは、どの曲もビリーのロック魂が炸裂し、1曲ごとに鳥肌が立つ。ビリーは62歳だが、現役バリバリのボーカルとピアノの腕で、バンドと5万5千人の観客をグイグイ引っ張っていく。そのパワーは圧巻だ。
CD&DVDでトニー・ベネット(ニューヨークの想い)、ガース・ブルック(シェイムレス)、ジョン・メイヤー(ディス・イズ・ザ・タイム)、ポール・マッカートニー、DVDでスティーヴン・タイラー(Walk This Way)、ロジャー・ダルトリー(My Generation)、ジョン・メレンキャンプ(Pink Houses)の飛び入りがある(そのほかライヴにはドン・ヘンリーが参加)。
スケジュールの都合上ポール・マッカートニーは当日ロンドンを発ち間に合わないタイミングだったが、事情を聞いた空港が優先着陸させ、空港から球場まで警察が先導して10分程度で到着。ギリギリ間に合った。楽屋からバックステージまでポールを乗せたカートを運転したのは、1965年のビートルズ公演で4人を乗せた車をステージ下から運転したのと同じグラウンド・キーパーの男性。この43ぶりの再会は感動的なシーンが満載のDVDのなかでも白眉。
ゲスト・ミュージシャンの客演は、それぞれが大きな見せ場なんだけど、ビリー単独でも十二分にぶっ飛べる。恐るべし、ビリー・ジョエル。このアルバムは絶対、買いだ。
※個人的には『My Generation』を昔のまま歌おうともがく姿がジョー・コッカーの域に入りつつある
ロジャー・ダルトリーが受けた。もちろんマイクをブルンブルン回している(笑)。
▼2日間公演で日によってセットリストが違うけど、『ピアノ・マン』は両日ともラスト前に歌われている。
33曲目にしてこのパワー。旺盛なスタミナには驚かされた。
Wikipediaによると、1990年代に半引退状態だったビリーは、2000年代にポピュラー音楽からの引退を宣言し、その後はアルコール依存症やうつ病が原因で入院したり、2度の交通事故を起こしたりと(筋金入りのバイク乗りの勲章か?)、私生活で数多くのアクシデントに見舞われているというじゃないか。肥えた身体に名残りを感じるが、このライヴでの圧倒的なパフォーマンスを目の当たりにすると、とても信じられない。見事なカムバックだ。
※そういえば、「すべての躁うつ病患者たちに捧げる」と言って歌い出したナンバーがあった。
僕はNYメッツのファンなので、シェイ・スタジアムの歴史とビリー・ジョエルの音楽人生を交錯させた、貴重なドキュメンタリー映像入りのディスク付きデラックス版を買ったけど(CD2枚組+DVD2枚付き8400円⇒amazon.5880円)、ライヴを楽しみたいなら3880円のDVDのみバージョンがおすすめ。
ステージを去る直前にオーディエンスへ投げかけるひと言が
めちゃくちゃかっこよかったぜ!
デラックス・エディション
ビリー・ジョエルのソロデビュー40周年を記念した、なんてことは重要ではない。大事なのは、このアルバムが、ロックが放つ魅力と神髄が凝縮された「すごい」としか言いようがない、逆転サヨナラ満塁本塁打的なライヴ盤の傑作であることだ。「ロックの聖地」である大リーグNYメッツの本拠地シェイ・スタジアム。2008年に取り壊しが決まり、その最後を飾るコンサートをビリー・ジョエルが行なったという幸運に感謝!である。

本作にはライヴで演奏されたであろう34曲から25曲が収録されている。日本で人気の『素顔のままで』『ストレンジャー』『オネスティ』『あの娘にアタック』『アップタウン・ガール』『さよならハリウッド』はライヴで演奏すらされていない。普遍的なリアリティと社会性と批判精神たっぷりの、ロックの本質を突いた硬派な選曲がなされている。
今回、シングルカットされなかった曲の数々を、DVDに映し出される訳詞を見ながら聴いて、ビリー・ジョエルが書く歌詞の、現実との絶妙な間合いに、しびれた。どれもが、ボン・ジョヴィ『Livin' On a Prayer』やトレイシー・チャップマン『fast car』のレベルに行っている。これぞロックだ。
『マイ・ライフ』『ハートにファイア』『ガラスのニューヨーク』『ピアノ・マン』をはじめとするナンバーは、どの曲もビリーのロック魂が炸裂し、1曲ごとに鳥肌が立つ。ビリーは62歳だが、現役バリバリのボーカルとピアノの腕で、バンドと5万5千人の観客をグイグイ引っ張っていく。そのパワーは圧巻だ。
CD&DVDでトニー・ベネット(ニューヨークの想い)、ガース・ブルック(シェイムレス)、ジョン・メイヤー(ディス・イズ・ザ・タイム)、ポール・マッカートニー、DVDでスティーヴン・タイラー(Walk This Way)、ロジャー・ダルトリー(My Generation)、ジョン・メレンキャンプ(Pink Houses)の飛び入りがある(そのほかライヴにはドン・ヘンリーが参加)。
スケジュールの都合上ポール・マッカートニーは当日ロンドンを発ち間に合わないタイミングだったが、事情を聞いた空港が優先着陸させ、空港から球場まで警察が先導して10分程度で到着。ギリギリ間に合った。楽屋からバックステージまでポールを乗せたカートを運転したのは、1965年のビートルズ公演で4人を乗せた車をステージ下から運転したのと同じグラウンド・キーパーの男性。この43ぶりの再会は感動的なシーンが満載のDVDのなかでも白眉。
ゲスト・ミュージシャンの客演は、それぞれが大きな見せ場なんだけど、ビリー単独でも十二分にぶっ飛べる。恐るべし、ビリー・ジョエル。このアルバムは絶対、買いだ。
※個人的には『My Generation』を昔のまま歌おうともがく姿がジョー・コッカーの域に入りつつある
ロジャー・ダルトリーが受けた。もちろんマイクをブルンブルン回している(笑)。
▼2日間公演で日によってセットリストが違うけど、『ピアノ・マン』は両日ともラスト前に歌われている。
33曲目にしてこのパワー。旺盛なスタミナには驚かされた。
土曜の夜9時になると連中が集まって来る
老人が僕の隣に座ってジン・トニックを幸せそうにチビリチビリとやっている
若いの 思い出というヤツを弾いてくれ
どんな曲だったかもう覚えちゃいないが ちょっぴり甘くてほろ苦い味のするヤツさ
これでも若くて洒落っ気があった頃にゃ 空ですっかり覚えていたものだ
歌ってくれよピアノ・マン 歌っておくれ今宵何か歌を
ほら君の歌が聞きたいのさ 君は俺達を幸せにしてくれるから
カウンターにいるのは僕の友達のジョン いつも僕にただで酒をおごってくれる
絶えず明るい冗談をとばしたり 煙草に火を付けてくれたり
でも彼の才能がいるべき場所はそこじゃない
「ねぇビル、もうウンザリだよ」 真剣な顔つきで彼は打ち明ける
「俺は映画スターになるんだ、自信はあるさ いつかきっとここから抜け出せさえすればな」
ポールは数字とにらめっこの不動産屋だ 結婚する暇もないほど帳簿を付けている
彼の話し相手はまだ海軍にいるデイビィ 恐らく彼は一生を海軍に捧げるだろう
ウェイトレスは上手な駆け引きの客あしらい ビジネスマンの客達はゆっくりと前後不覚に
そうさ彼等は「孤独」という名の酒を飲み交わす それでも一人で飲むよりはずっとましだよ
歌ってくれよピアノ・マン 歌っておくれ今宵何か歌を
ほら君の歌が聞きたいのさ 君は俺達を幸せにしてくれるから
土曜日とはいえ賑やかな店内を見渡して マネージャーが僕に微笑みかける 彼は知っているのさ
客はみんな明日のことをほんの一瞬忘れるために この僕に会いに来てるってことを…
ピアノはまるでカーニバルのような音を出し ビールの匂いがマイクにまで侵み渡る
彼らはカウンターから僕にピアノの注文をする
「ところで君ここで一体何してるんだい?」
Wikipediaによると、1990年代に半引退状態だったビリーは、2000年代にポピュラー音楽からの引退を宣言し、その後はアルコール依存症やうつ病が原因で入院したり、2度の交通事故を起こしたりと(筋金入りのバイク乗りの勲章か?)、私生活で数多くのアクシデントに見舞われているというじゃないか。肥えた身体に名残りを感じるが、このライヴでの圧倒的なパフォーマンスを目の当たりにすると、とても信じられない。見事なカムバックだ。
※そういえば、「すべての躁うつ病患者たちに捧げる」と言って歌い出したナンバーがあった。
僕はNYメッツのファンなので、シェイ・スタジアムの歴史とビリー・ジョエルの音楽人生を交錯させた、貴重なドキュメンタリー映像入りのディスク付きデラックス版を買ったけど(CD2枚組+DVD2枚付き8400円⇒amazon.5880円)、ライヴを楽しみたいなら3880円のDVDのみバージョンがおすすめ。
ステージを去る直前にオーディエンスへ投げかけるひと言が
めちゃくちゃかっこよかったぜ!
by kzofigo | 2011-05-23 17:40 | ミュージック・ブック























