パンドラム
パンドラム
2009年米独製作/2010年10月日本公開/クリスチャン・アルバート監督

『バイオハザード』シリーズや『エイリアン VS. プレデター』のポール・W・S・アンダーソン製作。監督はドイツ出身の新鋭クリスチャン・アルバート。地球を離れ、新たな惑星へと旅立った巨大宇宙船の乗組員たちを待ち受ける戦慄の運命を描いたSFスリラー。主演は『オールド・ルーキー』のデニス・クエイド、共演に『3時10分、決断のとき』のベン・フォスター。
『ライトスタッフ』(1983年)や『インナースペース』(1987年)のデニス・クエイド(57歳)も最年長の役を張るようになったのかぁ~と、しばし感慨にふける。
コールドスリープからバウアー伍長(ベン・フォスター)とペイトン中尉(デニス・クエイド)が目覚めると、長期にわたる冷凍睡眠後に起こる記憶障害のせいで、自分たちが誰で、なぜここにいるのかさえ、よく分からない。しかも、ほかのクルーが見当たらない上に、宇宙船に異変が起こっていて、「原子炉を再起動しないと大変なことになる」という。
で、ペイトン中尉が指示を出しつつ、技術者のバウアー伍長が原子炉に向かう。その途中で、謎のモンスターに襲われる。逃げる道すがら、科学者のナディア(アンチェ・トラウェ)や農業担当のマン(カン・リー)と出会い、自分たちが眠っているあいだに、宇宙船に何が起きたかが発覚していく。

観ているこちらは、モンスターではなく、かつてみたSF映画の既視感に襲われる。
地球から別の惑星に移住するストーリーや船内の造りが、同じ「ノアの方舟」的なスイス映画『カーゴ』に非常によく似ている。冷凍睡眠から目覚めた船員たちに謎の生物が襲いかかる設定は、『エイリアン』の宇宙船を巨大にした感じ。その誕生にちゃんとした理由づけがなされるクリーチャーたちとの戦いはまるで『ディセント』だ。
唯一、オリジナリティの匂いを放つ「パンドラム症」。ここ数年、『シャッターアイランド』をはじめ、「主観映像」と「客観映像」がカギを握るミステリーが何本か見受けられるが、この映画も若干その路線。ただ、「パンドラム症」の正体が分かっても、それほどのカタルシスはなかった。
それから、この映画は、「生存とは罪なのか?」という問いが観客に投げ掛けられる、『2001年宇宙の旅』や『惑星ソラリス』に近い問題提起型のSFでもある。それなのに、モンスター・ホラーの要素を加えたことで、どっちつかずになってしまっているのが残念。
ギリシャ神話では、パンドラの箱が開いたとき、最後に残ったのが「希望」だったという。大きな希望を予感させるラストはなかなかいいと思った。クリスチャン・アルバート監督によると、「この映画は3部作の1作目」だそうだ。このあと2作もどうやって作るんだろう?
★★★☆☆
▼同じ「ノアの方舟」モノの『カーゴ』レビューあり
http://abauxite.exblog.jp/13672286/
ひとつだけ言いたい。150年以上先の未来で、
原子力はないだろう!!
2009年米独製作/2010年10月日本公開/クリスチャン・アルバート監督

地球が滅亡の危機に瀕していた、西暦2174年。人類は、地球と同じ環境を持つ惑星タニスへ移住するため、6万人を乗せた宇宙船エリジウムが新天地をめざして旅立つ。やがて、2人の宇宙飛行士、ペイトン(デニス・クエイド)とバウアー(ベン・フォスター)が冷凍睡眠(コールドスリープ)から目を覚ます。彼らは記憶を失い、船内には誰もおらず、彼らのほかに恐ろしい何かが存在することに気づく。そして、次第に2人は恐怖とともに、「パンドラム症」という驚愕の真実に迫っていく…。
『バイオハザード』シリーズや『エイリアン VS. プレデター』のポール・W・S・アンダーソン製作。監督はドイツ出身の新鋭クリスチャン・アルバート。地球を離れ、新たな惑星へと旅立った巨大宇宙船の乗組員たちを待ち受ける戦慄の運命を描いたSFスリラー。主演は『オールド・ルーキー』のデニス・クエイド、共演に『3時10分、決断のとき』のベン・フォスター。
『ライトスタッフ』(1983年)や『インナースペース』(1987年)のデニス・クエイド(57歳)も最年長の役を張るようになったのかぁ~と、しばし感慨にふける。
コールドスリープからバウアー伍長(ベン・フォスター)とペイトン中尉(デニス・クエイド)が目覚めると、長期にわたる冷凍睡眠後に起こる記憶障害のせいで、自分たちが誰で、なぜここにいるのかさえ、よく分からない。しかも、ほかのクルーが見当たらない上に、宇宙船に異変が起こっていて、「原子炉を再起動しないと大変なことになる」という。
で、ペイトン中尉が指示を出しつつ、技術者のバウアー伍長が原子炉に向かう。その途中で、謎のモンスターに襲われる。逃げる道すがら、科学者のナディア(アンチェ・トラウェ)や農業担当のマン(カン・リー)と出会い、自分たちが眠っているあいだに、宇宙船に何が起きたかが発覚していく。

観ているこちらは、モンスターではなく、かつてみたSF映画の既視感に襲われる。
地球から別の惑星に移住するストーリーや船内の造りが、同じ「ノアの方舟」的なスイス映画『カーゴ』に非常によく似ている。冷凍睡眠から目覚めた船員たちに謎の生物が襲いかかる設定は、『エイリアン』の宇宙船を巨大にした感じ。その誕生にちゃんとした理由づけがなされるクリーチャーたちとの戦いはまるで『ディセント』だ。
唯一、オリジナリティの匂いを放つ「パンドラム症」。ここ数年、『シャッターアイランド』をはじめ、「主観映像」と「客観映像」がカギを握るミステリーが何本か見受けられるが、この映画も若干その路線。ただ、「パンドラム症」の正体が分かっても、それほどのカタルシスはなかった。
それから、この映画は、「生存とは罪なのか?」という問いが観客に投げ掛けられる、『2001年宇宙の旅』や『惑星ソラリス』に近い問題提起型のSFでもある。それなのに、モンスター・ホラーの要素を加えたことで、どっちつかずになってしまっているのが残念。
ギリシャ神話では、パンドラの箱が開いたとき、最後に残ったのが「希望」だったという。大きな希望を予感させるラストはなかなかいいと思った。クリスチャン・アルバート監督によると、「この映画は3部作の1作目」だそうだ。このあと2作もどうやって作るんだろう?
★★★☆☆
▼同じ「ノアの方舟」モノの『カーゴ』レビューあり
http://abauxite.exblog.jp/13672286/
ひとつだけ言いたい。150年以上先の未来で、
原子力はないだろう!!
by kzofigo | 2011-04-17 16:39 | ムービービーム























