主題歌はサザンじゃなかった

TSUNAMI－ツナミ－
（2010年9月公開／2009年製作・韓国映画）

【あらすじ】遠洋漁船に乗っていたマンシクは、事故と津波により、幼なじみのヨニの父を死なせてしまう。その後、彼は韓国屈指のビーチリゾート、釜山のヘウンデで飲食店を営みつつヨニのことを見守ってきたが、事故への自責の念のため、ヨニへの想いをなかなか打ち明けられずにいた。マンシクの弟で海洋救助隊員のヒョンシクは、海で溺れていた若い女性ヒミを助ける。いっぽう、地質学者のキムは、日本海で連続して発生している地震から、やがて巨大な津波が韓国の沿岸を襲うことを予告。そして、とうとう“その日”がやってきた。

ディザスター（災害）ムービーの成否の鍵を握るのは、大災害がクライマックスを迎えるまでの細かいネタふりとその科学的な根拠の裏付け、そして登場人物たちの人間模様をテンポよく描くことだと思う。その点、この映画は、エピソードを詰め込み過ぎ。人間模様を描くのに時間を割き過ぎ。クライマックスまでの展開がテンポ悪過ぎ。

それにも増して、大災害へ至るネタふりが大甘で、科学的な根拠も希薄。地震の震源地が北海道からプサンまで徐々に近づく？　対馬でマグニチュード8の大地震が起きる？　そこからプサン・ヘウンデまでの近距離で高さ100メートルの「メガ津波」が生まれる？　そのへんのメカニズムの説明がないまま観ているこっちは「メガ消化不良」に見舞われた。開始数分で怪物の誕生を納得させてみせた『グエムル －漢江の怪物－』の手際よさを見習ってほしかった。

　　　　　　　　　　(C)2009 CJ Entertainment Inc. All Rights Reserved.

エピソードは、元漁師マンシクと幼なじみのヨニ、地質学者キムと元妻ユジン＆娘ジミン、マンシクの弟と女子大生、キム・イングォンと母親、そこに地元の大物政治家が絡む…これでは最後に収拾をつけるのが無理。もっとマンシクとヨニにぐっと絞って描けばよかったよに。ハリウッド視覚効果界の大物ハンス・ウーリックが手がけたCGはさすが。でも、その災害シーンと人間たちの危機を捉えた場面のつなぎに難あり。見えない津波を想定しながらの俳優たちの演技は、ひと昔前の日本の怪獣映画を観ているようだった（笑）。

『海猿』を思わせる海難シーンの出来のよさと、壊れかけのブリッジに貨物船からコンテナが落ちてくるシーンなど韓国映画らしい「あり得ない」設定とユーモア、それにツッコミどころが満載な点で★2つ。

おすすめ度★★☆☆☆