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恋するスパイ

このDVDを観よ!

夢と現実が交錯していく、あのトリッキーな 『バニラ・スカイ』 以来、
トム・クルーズ&キャメロン・ディアス、2大スター9年ぶり2度目の共演作は、
スリルとユーモアとロマンスに満ちた、文句なしのスパイ・アクション。


ナイト&デイ(2010年・アメリカ映画)


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【あらすじ】運命の人を待ち望むジューン・ヘイブンズ(キャメロン・ディアス)は、妹の結婚式に向かう途中、空港で魅力的な男性ロイ・ミラー(トム・クルーズ)と遭遇。2人はすっかり意気投合するが、ロイがCIAと契約した訳ありのエージェントだったことから、ジューンは組織とスパイのトラブルに巻き込まれ、ロイとの逃避行をくり広げることになる…。

「ジェイソン・ボーン」シリーズにコメディとラブ・ロマンスの要素を加味したような、ハリウッドがかつて得意としていたスパイ映画が帰って来た感じにワクワクしながら、字幕、吹き替えと連続で観てしまった。原題は 『KNIGHT AND DAY』。なぜ「NIGHT」ではなくて「KNIGHT」なのかは、映画を観て納得しよう。

ラッセル・クロウやクリスチャン・ベール、ピーター・フォンダの出演で、西部劇としては近年まれに見るヒット作となった 『3時10分、決断のとき』 のジェームズ・マンゴールドが監督。彼は、『シャレード』 や 『北北西に進路を取れ』 のような映画をめざしたそうだが、そのねらいは大成功していると思う。とにかく、わかりやすく、考える必要がなく、気楽に大いに楽しめる。

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            (c)2010 TWENTIETH CENTURY FOX

脚本が出色の出来。クレジットはパトリック・オニールのみだが、ウィキペディアによると、12人以上の脚本家が関与しているらしい。なかでも、ダイアローグ(対話)が素晴らしい。ジューンとロイの絶妙のやりとりをはじめ、軽妙でウィットに富んだ会話の応酬は痛快だ。

物語のポイントとなるのは、高校を出たばかりの青年サイモン・フェック(ポール・ダノ)が発明した、街ひとつや大型潜水艦をまかなえるだけの電力を生み出す永久電池「ゼファー」。この「ゼファー」をめぐって、CIA、FBI、武器商人、そしてジューンを巻き込んだロイが、争奪戦を展開する。

ここがスパイ映画にとって非常に重要なのだが、舞台は、カンザス州ウィチタに始まり、ボストン、ニューヨーク・ブルックリン、アルプス、大西洋の絶海の孤島、オーストリア・ザルツブルグ、スペイン・セビリア…と、世界各地を転々とする。この場面転換の妙と異国情緒たっぷりの映像美が醍醐味なのだ。この映画では、気を失ったジューンが意識を取り戻すと舞台が移っている、という演出が施されていて、なおさら印象的だ。

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            (c)2010 TWENTIETH CENTURY FOX

アクションも満載だ。笑えるほど大雑把な銃撃戦に比べ、至近距離でのファイトは「M:I」シリーズ並みの充実度。多くが手持ちカメラの即興撮影で行なわれたカーチェイスも迫力満点。セビリアの石畳の狭い公道では、ジューンを乗せたロイのドゥカッティ・ハイパーモタードSとメルセデスのスマートカー軍団がアクロバティックに。ボストンでは、ジューンが運転するポンティアック1966年型GTOがフリーウェイをダイナミックに。もちろん、お約束の「逆走」もこれでもかと魅せてくれる。

ロイはといえば、ボーイング727を自らの操縦で不時着させ、ジューンを救うためにセルビアの街の屋上を駆け抜け、エイリアンが人間をさらっていくように悪党どもを吊り上げ、ジューンのために朝食のオムレツまで作ってしまう。余裕の笑みを浮かべながら。

そして、ロイのせいでとんだハプニングに巻き込まれたジューンは、次々に起こるアクシデントや命からがらの脱出劇に悲鳴を上げながら、やることがスマートなロイに助けられるにつれてロイとの逃避行を楽しみ始める。やがて2人は危険な状況下でお互いへの恋心を募らせていく。

ジューンとロイの立場が逆転する、粋でハッピーエンドのラストシーンは唸った。小道具として活躍するスマートフォンにも注目。

おすすめ度★★★★★


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【ハリウッドスター・トリビア】

恋するスパイ_b0137183_22382665.jpgトム・クルーズ
(実年齢48歳・公称170cm)
ウェールズからの移民と
アイルランド・イングランド・ドイツなどの血を引く
両親の間に生まれた苦労人。








恋するスパイ_b0137183_22384563.jpgキャメロン・ディアス
(38歳・175cm)
スペイン系キューバ移民2世で石油工場の
現場監督の父と、アメリカン・インディアンのチェロキー族、
イングランド・ドイツの血を引く輸出エージェントの
母の間に生まれた富裕層。







恋するスパイ_b0137183_2239669.jpgちなみに
アンジェリーナ・ジョリー(35歳・173cm)は、
父は言わずと知れたスロバキアとドイツ系の米国人
男優ジョン・ヴォイド、母はフランス系カナダ人と
アメリカン・インディアン・イロコイ族の血を引く
女優マルシェリーニ・ベルトラン。まさにサラブレッド。






この3人だけでも、人種のるつぼアメリカと、ほぼ単一民族・日本との、
国家的・人的ダイナミズムの違いがクッキリと見てとれるね。

by kzofigo | 2011-02-15 13:08 | ムービービーム