『ソルト』のパロディじゃなかった
有人胴体着陸。

(C) 2009 “Torso” Film Patners
もうすぐ35歳になるヒロコが好きなものは孤独だ。家に帰れば孤独が待っている。だから職場仲間からの度重なる合コンの誘いに一度も乗らないし、自分勝手な妹ミナが彼氏のジローとけんかをして家へ転がり込んで来るのが疎ましくてならない。
この主演・渡辺真起子の所作と佇まいが、まるで『Shall we ダンス?』の草刈民代か『かもめ食堂』の小林聡美のように、美しい。そして、たまらなくセクシーだ。その渡辺真起子が演じ、山崎裕監督(1940年生まれ)自らが撮る、頑なで寂しくて凛として淫らなヒロコ像を制作者たちと共有する104分間は、とても心地よかった。
ひとりのオトナの女の成長ドラマを観ているようだし、異父姉妹の一風変わった愛情物語と受け取れるし、フェティシズムが昂じたある女のラブストーリーにも思える。けれども、結局のところ、楽しみ方は観る人の数だけあるわけで、初めてまともな役を演じるような若々しい安藤サクラの演技も、 カメオ出演的ながら濃い残像を残す石橋蓮司やARATA、蒼井そら、山口美也子たちの演技も、この映画を自由に楽しむためのスパイスだ。

(C) 2009 “Torso” Film Patners
大きなお世話好きのレンタカー屋(石橋蓮司)からインディゴブルーのアクセラを借りて(このシーンは笑える)、プライベートビーチのような浜辺で、ヒロコとトルソがヌードでデートを楽しむシーンからは、ヒロコの溢れんばかりの充足感が観ているこちらにも伝わってきて、何だか気持ちが満たされる。また、妊娠したミナが自分のこれからを語り、その決心をヒロコが心配する公園のシーンは、妹の健気さと姉の優しさが伝わってきて、心がふわっと和んだ。
監督自らが撮った、闇を重視しライティングに凝った映像美はカメラマンならでは。無伴奏のチェロ一本など、決して映像の邪魔をしない音楽がしびれるほどオトナだ。ヒロコにとって孤独の相棒トルソは、愛玩の対象じゃなくて、自分が喪失している欠片に他ならないだろう。だから、あれほど、ひとつになりたがるんだと思う。山崎裕が撮影を手がけたどの是枝裕和監督作品よりもこの映画が好きだ。
ヒロコにある変化が訪れるラストシーンのツメが甘くてマイナス1。
おすすめ度★★★★☆
是枝監督の弟子で、渡辺裕は身内みたいなものだけれども、映画チラシの裏にある西川美和のコメントが非常に的を射ているので引用。この人はどれだけ才能を持てば気が済むのだろう。

【ストーリー】化粧っ気もなく携帯電話も持たない独身OLのヒロコ(渡辺真起子)。ヒロコは顔も手も足もない、男性の胴体の形をした「トルソ」という人形を恋人のように大事にしていた。ある日、恋人の暴力と浮気に愛想を尽かした妹のミナ(安藤サクラ)がヒロコの家に転がり込んでくる。そのミナの恋人というのは、ヒロコがかつて同居していた男だった・・・。
もうすぐ35歳になるヒロコが好きなものは孤独だ。家に帰れば孤独が待っている。だから職場仲間からの度重なる合コンの誘いに一度も乗らないし、自分勝手な妹ミナが彼氏のジローとけんかをして家へ転がり込んで来るのが疎ましくてならない。
この主演・渡辺真起子の所作と佇まいが、まるで『Shall we ダンス?』の草刈民代か『かもめ食堂』の小林聡美のように、美しい。そして、たまらなくセクシーだ。その渡辺真起子が演じ、山崎裕監督(1940年生まれ)自らが撮る、頑なで寂しくて凛として淫らなヒロコ像を制作者たちと共有する104分間は、とても心地よかった。
ひとりのオトナの女の成長ドラマを観ているようだし、異父姉妹の一風変わった愛情物語と受け取れるし、フェティシズムが昂じたある女のラブストーリーにも思える。けれども、結局のところ、楽しみ方は観る人の数だけあるわけで、初めてまともな役を演じるような若々しい安藤サクラの演技も、 カメオ出演的ながら濃い残像を残す石橋蓮司やARATA、蒼井そら、山口美也子たちの演技も、この映画を自由に楽しむためのスパイスだ。

大きなお世話好きのレンタカー屋(石橋蓮司)からインディゴブルーのアクセラを借りて(このシーンは笑える)、プライベートビーチのような浜辺で、ヒロコとトルソがヌードでデートを楽しむシーンからは、ヒロコの溢れんばかりの充足感が観ているこちらにも伝わってきて、何だか気持ちが満たされる。また、妊娠したミナが自分のこれからを語り、その決心をヒロコが心配する公園のシーンは、妹の健気さと姉の優しさが伝わってきて、心がふわっと和んだ。
監督自らが撮った、闇を重視しライティングに凝った映像美はカメラマンならでは。無伴奏のチェロ一本など、決して映像の邪魔をしない音楽がしびれるほどオトナだ。ヒロコにとって孤独の相棒トルソは、愛玩の対象じゃなくて、自分が喪失している欠片に他ならないだろう。だから、あれほど、ひとつになりたがるんだと思う。山崎裕が撮影を手がけたどの是枝裕和監督作品よりもこの映画が好きだ。
ヒロコにある変化が訪れるラストシーンのツメが甘くてマイナス1。
おすすめ度★★★★☆
是枝監督の弟子で、渡辺裕は身内みたいなものだけれども、映画チラシの裏にある西川美和のコメントが非常に的を射ているので引用。この人はどれだけ才能を持てば気が済むのだろう。
たいへん怖い映画です。たいていがよけて通り、見て見ぬふりをしている女の一番キモチ悪いところを、まんじりともせずに、根っから嬉しそうに撮っている山崎さんの女性愛というのは、さすが、人間離れしていると思います。~西川美和
by kzofigo | 2011-02-06 23:04 | ムービービーム























