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12月のムービービーム【4】     

『シーサイドモーテル』


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俳優の顔ぶれと映像の色彩美だけは華麗で、内容は貧相な映画だった。

海もなく山に囲まれているのに、なぜか「シーサイド」と名づけられた小さなモーテル。その4つの部屋でくり広げられる、インチキ化粧品のセールスマンとコールガール、借金を踏み倒したギャンブラーと借金取り、EDの社長とその若妻、キャバクラ嬢と常連客ら11人のワケアリ男女による愛と金と欲のダマし合いと駆け引き、そしてさまざまなな人間模様と葛藤をコミカルに描いた一夜の物語。

103号室:生田斗真(インチキセールスマン)、麻生久美子(コールガール)
202号室:山田孝之(ギャンブラー)、成海璃子(ギャンブラーの女)、玉山鉄二(借金取り)、
       温水洋一(謎の男)
203号室:古田新太(スーパー太田社長)、小島聖(太田の若妻)
102号室:池田鉄洋(キャバクラの常連客)

監督:守屋健太郎、主題歌:シャネルズ『ランナウェイ』

これだけ主役級がそろった、華とクセのある俳優陣に恵まれながら、話の展開がトロくて、まったく弾けない。テレビの退屈なシチュエーション・コメディを観ているようだった。これは脚本と演出の力量不足だろう。脚本は宮藤官九郎で監督は堤幸彦とか、『下妻物語』『嫌われ松子の一生』の中島哲也、『運命じゃない人』『アフタースクール』の内田けんじあたりに任せたほうがいいと思った。

1995年にクエンティン・タランティーノがロバート・ロドリゲスとか3人の監督に声を掛けて作られた『フォー・ルームス』というオムニバスの面白いアメリカ映画があった。ブルース・ウィリスやアントニオ・バンデラス、マドンナ、ジェニファー・ビールスが出演して、映画全体を通して登場する主人公のベルボーイはティム・ロスだった。


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岡田ユキオの漫画『MOTEL』を原作とした…とあるけど、 『フォー・ルームス』に相当、影響受けてるんじゃないか? で、『MOTEL』にはティム・ロス役がいないんで、間抜けな巡査コンビを設定して、各エピソードのつなぎ役にしたんだろう。そのエピソードそのものが面白くないんだから、困ったものだ。やたらと登場人物を死なせたりケガをさせたりするのは、安易過ぎないか?

麻生久美子や小島聖には、『フォー・ルームス』のタムリン・トミタぐらいの色気を見せてほしかったなあ。それ以上に、生田斗真と麻生久美子のベッドシーンは呆れてモノが言えない。サラッといきたかったんだろうけど、省略するにも程がある。ボラギノールのCMかと思った。『有頂天ホテル』でもそうだったが、麻生久美子にSEXYを求めるのは間違いだと早く気づいてほしいぞ。

山田孝之と玉山鉄二は好きな男優なんだけど、2人の絡みだけは観ごたえがあった。それと玉山が着てるストライプのスーツがかっこよかったんで、星2つ。★★☆☆☆




たまたまBS-2で、玉山鉄二と山田孝之が兄弟役の『手紙』を観たが、泣けた。まあ、東野圭吾の原作が秀逸なんだろうけど。山田、玉鉄、沢尻エリカ、吹石一恵、尾上寛之、吹越満、 風間杜夫ほか役者がそれぞれにいい演技をしていた。山田が勤める会社の会長役・杉浦直樹のセリフと存在感に圧倒された。

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沢尻エリカ、これも2006年作で「別に」騒動前だけど、関西弁の意気のいいお姉さん役をみごとに演じている。彼女は素晴らしい映画女優だ。まだ24歳。早くスクリーンへ戻って来いと言いたい。しかし、クライマックスで『言葉にできない』を挿入させるのは演出過剰だった。主題歌もピンとこなかったし。選曲が惜しかった。★★★★☆

by kzofigo | 2010-12-20 23:11 | ムービービーム