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新ヒロイン誕生     


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【渇き】(英題:THIRST)は、傑作『オールド・ボーイ』を含む復讐3部作で注目を集める韓国映画界の鬼才パク・チャヌク監督が、血への渇望と性への耽溺という、分かち難い誼みを、鋭敏な着眼と発想で描いた、韓国版バンパイア映画だ。


【あらすじ】
難病のワクチン開発のために、自ら人体実験に身を捧げ、得体の知れない血液を輸血された神父サンヒョン(ソン・ガンホ)。彼は、ある日、幼馴染みガンウ(シン・ハギュン)と再会し、彼の妻テジュ(キム・オクビン)と運命的に出会ってしまう。

テジュはガンウの母・ラ夫人(キム・ヘスク)の養女として育てられ、義兄であるガンウと結婚した。家では奴隷同様に扱われ、捨て犬のような毎日を送っていた。そのテジュの前にサンヒョンが現われたことから2人は怒涛の人生を歩み始める。

自分を抑えて生きるしかない境遇に置かれたサンヒョンとテジュは、互いに同類の臭いを感じ取る。そして、激しく惹かれあう。神に身を捧げ童貞のサンヒョンだが、抗い難い魅力を放つテジュの色香に心をかき乱され、2人は愛欲に溺れてゆく。

それだけでは飽き足りないテジュはサンヒョンにガンウ殺害の姦計を仄めかす。しかし、サンヒョンの体は輸血の影響で、血を求めずにはいられないバンパイアと化していた…。


パク・チャヌク監督のリアリティに徹底してこだわる生々しい映像スタイルは本作でも炸裂。随所に散りばめられたユーモアと幻覚的ビジョンがあいまって独特のレアな感覚がほとばしる。サンヒョンとテジュが抑え切れない欲望をぶつけ合う大胆なセックスシーンが官能的であればあるほど、2人が織り成す純愛は、鬼気迫るような美しさを増していく。

神父という立場でありながら、同時にバンパイアとして本能的に血を、ひとりの男としてテジュを求めてしまうサンヒョンの葛藤。そして、それを全身全霊で受け止めようとする、迷いのないテジュの狂気。性質の異なる2つの愛が重なり合い、高まり、悲し過ぎるラストシーンへと昇華していく。

『渇き』は、パク・チャヌク監督が、エロチックで暴力的な描写の根底に流れる、この上なく純粋で美しい愛の形を突きつけた、究極のラブストーリーかも知れない。


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ただ、モチーフが絞り込まれ、物語の進む方向がシンプルだった『オールド・ボーイ』に比べ、贖罪や非道、色欲、血盟、暴力、殺傷、虐待、何対もの人間関係…と、ちょっと材料を詰め込み過ぎて、映画全体がどこへ向かうのか方向性を失って、しっちゃかめっちゃかになってしまった印象を受ける。もっと脚本段階で話の肉をそぎ落として、これでもかとサンヒョンとテジュの関係性にだけ重きを置いたストーリーに純化すれば完璧だったと思う。

パク・チャヌク監督は、『オールド・ボーイ』で21歳の新人女優カン・ヘジョンを起用。この映画では主演作はあるものの、まだブレイク前の23歳、キム・オクビンを難役テジュに抜擢。有望な若手女優を発掘して、その女優が携えた人間性を100%噴出させる体当たりの演技を引き出し、スクリーン上で才能を大きく開花させる能力に長けている。

パク・チャヌクが白羽の矢を立てたキム・オクビンは、167cmの身長と長い手足に小顔のベビーフェイスながら、本作で演じた女の変貌ぶりとエロチシズムの体現は特筆もの。空虚な心に支配され生きながら死んでいるようなテジュが、サンヒョンとの出会いと彼からの影響で、自分本来の欲望を解放し始め、恥も外聞も捨て去り、生き生きと人生を享受していく姿を見事に演じ切っている。


アジアの新ヒロイン、スター誕生だ。


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                 ▲『ラスト・ブラッド』でのチョン・ジヒョン


わがチョン・ジヒョンが『ラスト・ブラッド』(これもバンパイヤ映画だ)のような駄作で日本の女子高生を「やらされている」体たらく。うかうかしてると、そのポジションを奪われかねない。キム・オクビンにはそれだけの魅力と才能がある。★★★★☆


            ▼映画『渇き』でのキム・オクビン
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キム・オクビンは普通の女子高生だったが、「ネイバー」の「インターネットオルチャンコンテスト」(オル=顔、チャン=最高)に入賞したことから、スター女優の登竜門である『女高怪談』シリーズに出演、すぐに脚光を浴びた。以降彼女は、ドラマ『ハノイの花嫁』『こんにちは、神様』に出演し、新人らしからぬ安定した演技力で大衆の目に焼きついた。続いて映画『多細胞少女』とドラマ『オーバー・ザ・レインボー』の主演を演じ、主演俳優としての座を固めていく。


               ▼オフィシャルな場でのキム・オクビン
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今や彼女を、「インターネットオルチャン」のキム・オクビンとだけ見る人はいない。彼女はルックスだけではなく、天性の演技力を持ち合わせているからだ。また、ドラマ『オーバー・ザ・レインボー』で見せるダンスの実力は相当だと評価され、彼女が単純に顔だけのスターではないことを証明している。『渇き』のテジュ役を観れば彼女がすでに演技派女優の域に達していることが分かるだろう。現在、慶煕(キョンヒ)大学校・演劇映画科在学。

by kzofigo | 2010-08-11 22:46 | ムービービーム