Da Vinci Da

【PUSH】念動力という特殊能力を持つニック(クリス・エヴァンス)は、ある日、未来予知力を持つキャシー(ダコタ・ファニング)から、謎の政府機関“ディビジョン”から脱走した女性キラ(カミーラ・ベル)の行方探しを手伝って欲しいと頼まれるのだが…。
ケネディ暗殺やベルリンの壁崩壊など数々の歴史的事件に関与していたという超能力者たちが、政府の陰謀に立ち向かうSFサイキック・アクション。『ラッキーナンバー7』のポール・マクギガン監督が、サイキッカーたちの闘いをスタイリッシュな映像で描く。舞台を「香港」にしたのが大正解。同じ“ディビジョン”出身の善玉組と悪役組の対決というありきたりなストーリーと、超能力で闘うためどこかカタルシスに欠ける格闘シーンを、街自体が迷路で密室の香港が醸し出す緊張感が補っている。すっかり大人っぽく美しくなったダコタ・ファニング(左)とエキゾチックな魅力のカミーラ・ベル(右)を見ているだけでOKな映画。キャシーが描く未来図や香港の色彩など「美術」スタッフの健闘には拍手。おすすめ度★★★☆☆



【カーゴ】2267年、人類は環境汚染が進んだ地球を捨て、宇宙ステーションに避難。唯一の希望は夢の惑星レアへの移住。移住費用を稼ぐため、宇宙貨物船にドクターとして乗船したラウラ。その任務は物資輸送のはずだった。3年のコールドスリープから目覚めたとき、彼女は妙な気配を感じ取る。船内の捜索を始める乗組員たち。そこには惑星レアに隠された衝撃の事実があった…。
スペインがW杯で負けたスイス映画。人類移住計画に潜む巨大な陰謀を描いたSFサスペンス。『エイリアン』のデザイナーH・R・ギーガーが称賛し、漢字やハングルなどオリエンタルな趣味が頻出するセットや、クセのある俳優陣、暗いトーンの映像、劇的な展開であっても抑えた演出…すべてにハリウッド映画のような派手さは一切なし。しかし、地味ながら滋味に溢れてるよジミーちゃん。やってる、やってる。『惑星ソラリス』ほど哲学的ではなく、『2001年宇宙の旅』『未来惑星ザルドス』『エイリアン』『アイランド』などの物語とタッチを和えたような食感とでも言えばいいのか。アメリカ映画のB級SF作品に比べたらずっと上質。衛星宙立的なコクがある作品。スイスだけに。
★★★★☆

【チェンジリング】1928年のロサンゼルス。シングルマザーで、電話会社に勤務するクリスティン(アンジェリーナ・ジョリー)の息子、ウォルターが姿を消す。クリスティンは警察に捜査を依頼し、その5か月後、警察からウォルターを保護したと朗報が入る。喜ぶクリスティンだったが、再会した息子はまったくの別人だった。警察にそのことを主張すると、彼女は「精神異常者」として精神病院に収容されてしまう。その背後には当時のロサンゼルス市警察の恐るべき体質が隠されていた…。
1920年代のロサンゼルスで実際に発生したゴードン・ノースコット事件の被害者家族の実話をもとに映画化。クリント・イーストウッド監督の「硫黄島二部作」に続く作品。しかも『グラン・トリノ』と同年の製作。この創作に対するバイタリティには本当に頭が下がる。本作は、平凡な主婦が、誘拐された子どもの行方をつきとめたい一心で、腐敗した警察権力に立ち向かい、真実を求めて闘い続ける姿を、寡黙なタッチで描き出したサスペンス・ドラマ。綿密に時代考証されたセット、脇役の俳優ひとりひとりまで行き届いた演出。老境の域に達してなお、自身の最高傑作をぬり替えている感さえある。ヒロイン・アンジェリーナの容姿やアクションを抜きにした熱演はもちろん、ジョン・マルコヴィッチがクリスティンを支える牧師、『バーン・ノーティス 元スパイの逆襲』のジェフリー・ドノヴァンが悪徳警部役を演じているのも見どころ。
★★★★☆

【バッド・ルーテナント】ニューオリンズで巡査部長を務めるテレンスは、ハリケーンが襲来した際に囚人を救出した功績により警部補(ルーテナント)へ昇進。ところが、高級娼婦の愛人とドラッグや賭博に溺れ、悪事に手を染めてゆく。そんななか、セネガルからの不法移民一家殺害事件の陣頭指揮を執ることになるが…。
1992年にハーヴェイ・カイテル主演で製作され、カルト的な人気を博したクライム・サスペンス『バッド・ルーテナント 刑事とドラッグとキリスト』。これを、ヴィム・ヴェンダースらと並ぶニュー・ジャーマン・シネマの代表的監督でドイツ映画界の鬼才、『アギーレ/神の怒り』『フィツカラルド』のヴェルナー・ヘルツォーク監督が、主演にニコラス・ケイジを迎えてリメイク。幻覚と現実のはざまで笑いながら狂うニコラス刑事、いや、テレンス刑事…「困った時のニコラス・ケイジ」帰還を告げる本領発揮の怪演が素敵だ。洪水の海をヘビが泳ぎ、ワニが地を這い、卓上でイグアナがうごめく。善行が悪徳と結ばれた結果、八方ふさがりが奇跡的にハッピーエンドにすり替わる構造を、ヘルツォークが爬虫類のまなざしで笑い飛ばした、バッド・クライム・ムービー。荒廃した街ニューオリンズで、正気と狂気を行き来するニコイチ人格の最悪な男が躍動する姿は痛快だ。
★★★★★
by kzofigo | 2010-08-02 14:57 | ムービービーム























