「SOUL RED 松田優作」
【辛口評】
2009年、故・松田優作は、生誕60年、没後20年を迎えた。
これはその節目に作られた、ドキュメンタリー映画だ。
優作が逝ってから時が経つほど、優作はますます真剣を突きつけてくる。
このドキュメンタリーの惹句のように、「生きているのは、お前か俺か」と。
それだけ、今という時代と、今を生きる自分が「ゆるい」からだろう。
1989年11月6日、あの日、朝刊で優作の訃報を初めて知り、
あまりのショックに会社を休み、1日喪に服したヘヴィな優作ファンにとっては、
『ア・ホーマンス』の制作風景と、ソフト化されていない『大都会PARTⅡ』のワンシーンと、
俳優である息子2人のインタビューが目新しいから、
これはコレクターズ・アイテムにはなり得るだろう。
しかし、ファンではない人にとって、今なお新たな若いファンを生み続け
夢中にさせている優作の凄みと人間味が伝わる内容になっているとは到底思えない。
できれば、映画製作に命を懸け、40年の人生を、
敵を追うヒーローのように駆け抜けて行った優作と同じ疾走感と熱をもって、
優作の生きざまと死にざまを、もっともっと浮き彫りにしてほしかった。
だって、エグゼクティブ・プロデューサーの筆頭に美由紀夫人の名があるんだから。
優作急死を受けて作られたテレビの追悼番組のほうが
(とくにABC制作の「驚き☆ももの木20世紀」)、ずっと熱かったよ。
【甘口評】
映画製作に命を懸け、40年の人生を駆け抜けて行った男・松田優作。
その鮮烈な軌跡を、浅野忠信や香川照之、宮藤官九郎、仲村トオル、
松田龍平、松田翔太、アンディ・ガルシアはじめ関係者のインタビューや
出演作の名場面、秘蔵写真で構成しながらたどっている。
映画プロデューサー・黒澤満やテレビ版『探偵物語』で脚本家デビューした丸山昇一、
『それから』などの脚本家・筒井ともみ、『蘇える金狼』などの撮影・仙元(せんげん)誠三、
『ア・ホーマンス』などの美術・今村力(つとむ)、惹句師・関根忠郎(ただお)、
『家族ゲーム』『それから』の映画監督・森田芳光…。
優作と苦楽をともにした現場スタッフが、
優作へのそれぞれの思いを語ったインタビューに引き込まれる。
彼らの「証言」は、優作がひとりの俳優でありながら、
たぐいまれなクリエイターだったことを教えてくれる。
自らスタッフを集め、脚本に手を加え、多くの人たちを引っ張って、ひとつの映画を製作してきた。
プロデューサー的な立場から映画にかかわっていたことが分かるのだ。
映画に対するぶれない姿勢と揺るぎない思いによって、優作が何を伝えたかったのか。
そこに少し近づけた気がする。
人間・松田優作の器量の分厚さを、あらためて思い知らされる作品だ。
◆角川映画 発売中 4935円
2009年、故・松田優作は、生誕60年、没後20年を迎えた。
これはその節目に作られた、ドキュメンタリー映画だ。
優作が逝ってから時が経つほど、優作はますます真剣を突きつけてくる。
このドキュメンタリーの惹句のように、「生きているのは、お前か俺か」と。
それだけ、今という時代と、今を生きる自分が「ゆるい」からだろう。
1989年11月6日、あの日、朝刊で優作の訃報を初めて知り、
あまりのショックに会社を休み、1日喪に服したヘヴィな優作ファンにとっては、
『ア・ホーマンス』の制作風景と、ソフト化されていない『大都会PARTⅡ』のワンシーンと、
俳優である息子2人のインタビューが目新しいから、
これはコレクターズ・アイテムにはなり得るだろう。
しかし、ファンではない人にとって、今なお新たな若いファンを生み続け
夢中にさせている優作の凄みと人間味が伝わる内容になっているとは到底思えない。
できれば、映画製作に命を懸け、40年の人生を、
敵を追うヒーローのように駆け抜けて行った優作と同じ疾走感と熱をもって、
優作の生きざまと死にざまを、もっともっと浮き彫りにしてほしかった。
だって、エグゼクティブ・プロデューサーの筆頭に美由紀夫人の名があるんだから。
優作急死を受けて作られたテレビの追悼番組のほうが
(とくにABC制作の「驚き☆ももの木20世紀」)、ずっと熱かったよ。
【甘口評】
映画製作に命を懸け、40年の人生を駆け抜けて行った男・松田優作。
その鮮烈な軌跡を、浅野忠信や香川照之、宮藤官九郎、仲村トオル、
松田龍平、松田翔太、アンディ・ガルシアはじめ関係者のインタビューや
出演作の名場面、秘蔵写真で構成しながらたどっている。
映画プロデューサー・黒澤満やテレビ版『探偵物語』で脚本家デビューした丸山昇一、
『それから』などの脚本家・筒井ともみ、『蘇える金狼』などの撮影・仙元(せんげん)誠三、
『ア・ホーマンス』などの美術・今村力(つとむ)、惹句師・関根忠郎(ただお)、
『家族ゲーム』『それから』の映画監督・森田芳光…。
優作と苦楽をともにした現場スタッフが、
優作へのそれぞれの思いを語ったインタビューに引き込まれる。
彼らの「証言」は、優作がひとりの俳優でありながら、
たぐいまれなクリエイターだったことを教えてくれる。
自らスタッフを集め、脚本に手を加え、多くの人たちを引っ張って、ひとつの映画を製作してきた。
プロデューサー的な立場から映画にかかわっていたことが分かるのだ。
映画に対するぶれない姿勢と揺るぎない思いによって、優作が何を伝えたかったのか。
そこに少し近づけた気がする。
人間・松田優作の器量の分厚さを、あらためて思い知らされる作品だ。
◆角川映画 発売中 4935円
by kzofigo | 2010-08-26 01:25 | ムービービーム