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カシージャスの涙     

あれは1998年のことだ。

いったん「うつ」がよくなって、療養していた実家から、当時の自宅、郊外に借りた一戸建に戻った。
昼間まったくのひとりきりで、近所に話し相手もいない。孤独が「うつ」をさらに悪化させた。
それから2年間、実家でほとんど寝たきりの生活を送った。

1999年。昼夜が逆転した一時期の深夜、NHKのBS1で放送されていた
サッカーのリーガ・エスパニョーラ(スペイン・リーグ)を何気なく見ていた。

ひとりのドリブラーが醸し出すオーラに惹かれた。プレーが優雅でどこか愁いを帯びていた。
それが、バルセロナ時代のルイス・フィーゴだった。


                    ~中略~


スポーツの大願成就でこんなに泣いたのは1985年10月16日の神宮球場以来だ。
2010年7月11日を僕は決して一生忘れないだろう。


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ユーロ2008で優勝したから、
ワールドカップは楽しませてくれればいいやと強がっていたけど、
やっぱり違った。

ワールドカップは欧州選手権とは全然違う。
背負っているものの重圧が違う。歓喜の瞬間の爆発力が違う。めざす頂までの険しさが違う。

ゴールが決まったあと、ゲームが続行しているにもかかわらず、
選手たちが泣くなんてことがあるだろうか。

半ば揶揄されるように「無敵艦隊」と呼ばれ、
期待されながら、地方の独立性が強く、代表より地元クラブが優先される国ゆえの
結束力とメンタルの弱さを露呈して裏切り続けてきたスペイン。

当時のスペイン代表でいまも残っているのはキーパーのカシージャスだけじゃないかな。

彼の少年のような目はレアルのレギュラーに定着した19歳のときとちっとも変わらない。
変わったのは、世界でも指折りの守護神と、代表の主将を任されるまでに成長したことだ。



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カシージャスはどんな思いで涙を流していたのだろう。
かつて一緒に戦って辛酸を舐め続けた仲間たちの顔が浮かんできたのだろうか。

逆に、イエロやミチェル・サルガド、ルイス・エンリケ、エルゲラ、ラウル、グティ、
そしてモリエンテスたちは、カシージャスの涙を、どんな心持ちで見つめていたのだろう。


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             ~中略~


岡山の旧友。東京の仲間。病院の方々。両親。妻と娘。
僕を支えてくれた人たちに対して感謝の気持ちでいっぱいだ。

ありがとう、リーガ。

ありがとう、スペイン。

ありがとう、オランダ。

僕は赤が大好きだけど、実を言うと、オレンジだって大好きなんだ。

by kzofigo | 2010-07-12 07:19 | スポーツ旬報