2009年No.1ムービーはこれだ!!!
観るべし!!! 愛のむきだし
【ザッとしたあらすじ】
幼い頃に母を亡くしたユウ(西島隆弘)は、理想の女性「マリア」にめぐりあうことを夢見ながら、神父の父テツ(渡部篤郎)と暮らしていた。しかし、テツが妖艶な女サオリ(渡辺真起子)に溺れてから生活は一変。やがてサオリがテツのもとを去ると、テツはユウに毎日「懺悔」を強要するようになる。父との繋がりを保つために盗撮という罪作りに没入していくユウはある日、罰ゲームで女装している最中に、ついに理想の女性ヨーコ(満島ひかり)とめぐりあう…。

『自殺サークル』や『紀子の食卓』など、作家性「むきだし」の作品を創り続ける鬼才・園子温(その・しおん)監督、既成概念クソクラエ「バイブレーション」炸裂のエンターテイメントだ。僕はテレビドラマ『時効警察』でしか彼の演出に接してないけどね。わはは!
敬虔豊富なクリスちゃん一家に育った少年ユウが、「オノ」でも「港の」でもない「君は特別」の少女ヨーコと出会い、謎の新興宗教と「バイ・バイ・ベイビー」していく姿を、237分にわたって「エキゾチック・ジャパン!」と描いていく。メインキャストの「悲しきメモリー」とか人となりを、その人物自らのナレーションで語り、詳らかにするスタイルを取っているから時間がかかるんだ。でもね、各シークエンスの展開が「魅力のマーチ」みたいにテンポがよく、逆に上映時間が短く感じられるほどだ。
LOVE! 満島ひかり Mitsusima Hikari

「裸のビーナス」はじめ女性に性的な興奮を覚えず、ヨーコのパンチラにのみ勃起してしまうユウは、自分が【変態】であることを「モナリザの秘密」にすることなく「よろしく哀愁」とあっさり肯定し、まさに【変態上等!】と「むきだし」で生きている。「マイレディー」ヨーコとひとつ屋根の下で暮らすことになっても、興味の対象はあくまでもパンティ。変態は「迷イズム」に陥っているが、同時に変態は「天使の詩」のようにピュアなのだ。
だから、カルト教団に洗脳されたヨーコに「ほっといてくれ」とどれだけ拒否されても、ユウは彼女を正気の世界へと救い出すことをあきらめない。「ハリウッド・スキャンダル」みたいに「男の子女の子」があっちこっちするストーリーのなかで、ユウの【変態】とヨーコへの【想い】だけは決してブレない。人間どもの【原罪】は、突き詰めると、その正体は【愛への出発】であることが見えてくる。ユウの「地上の恋人」ヨーコへの愛は、そんじょそこらの宗教よりゆるぎナイヨ・ナイヨ・ナイト。
Bravo! 園 子温 Sono Shion

盗撮、カルト教団、同性愛、近親相姦、女装…と、この映画は背徳と変態と「タブー」のオンパレードだが、この「禁じられた愛」のような禁断の設定を通じて、監督は人間どもの本質と原罪を探ろうとしたのだろう。園子温監督はその「セクシー・ユー」な変態スピリットを「愛より速く」フィルムに定着させ、「2億4千万の瞳」に焼き付けようとしたんだ。その試みは成功していると思う。ひとりの少年の肉欲をめぐるアブノーマルな「小さな体験」が、信仰というフィルターを通して、純度の高い愛へと昇華していくラストには、「若さのカタルシス」さえ味わえるのだから。
AAAのメインヴォーカル・西島隆弘、ヴォーカル・ユニットから女優に転身した満島ひかり、奥田瑛二と安藤和津の二女・安藤サクラといった若手俳優陣が体当たりの演技で「もういちど思春期」している。とくに、ユウとヨーコの関係を見守り、やがて翻弄するコイケ役・安藤サクラの快演は見もの。モーレツな嫌悪感を感じさせるその不気味な存在は、22歳という年齢からは想像できないほどの迫力だ。
Farewell, ゆらゆら帝国

上映が始まって1時間後にやっとタイトルが出る。ボレロやベートーヴェン交響曲7番を流しっぱなしにして、ささやき、叫ばれる演技を、ゆらゆら帝国がけしかける。まさに映画でしか成し得ない映像に愛撫され快楽のなかで映画死せよの新型カルトムーヴィー・ウイルスに感染しその魔力と魅力を大いに堪能した。
2009年キネマ旬報ベストテン日本映画で、なんで4位なの? 『ディア・ドクター』『ヴィヨンの妻』『空気人形』『グラン・トリノ』『母なる証明』『チェイサー』『レスラー』『スラムドッグ$ミリオネア』しか観てないけど、外国映画を含めて2009年のナンバーワンでしょ。
とにかく、アニメと日常的で身の丈サイズで和風テイストな薄味の作品ばかりが大量生産される生ぬるい日本映画界にどでかい風穴をぶち開ける非日常的な痛快作であることは間違いない。
おすすめ度★★★★★
by kzofigo | 2010-05-15 03:16 | ムービービーム























