長洲未来に期待
1972年の札幌オリンピックでジャネット・リンが振り撒いた可憐な魅力は、思春期の戸口にたたずむ紅顔の美少年だった僕を、御多分に洩れず女子フィギュアスケートのファンに導いた。以来、いろんなシーンが心の感動ファイルに圧縮保存されている。
1989年のパリ世界選手権で観客の度肝を抜いた伊藤みどりのトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)や、2度の五輪で金メダルに輝き、プロ転向後、プロ出場が解禁された1994年のリレハンメルで2大会ぶりに五輪出場し、結果は7位に留まったがカタリナ・ヴィットが浴びた満場の喝采、そして2006年のトリノ五輪で世界中をうっとりさせた荒川静香のイナバウアーは、心の外付けハードディスクにバックアップを取っているほどだ。
なかでも、DVDに永久保存した荒川静香のトリノ五輪フリーは、心が荒んで刺々しい時、その美麗で手弱女(たおやめ)な演技を眺めては、今でも気持ちを浄化させている。
Killing me softly with her skating・・・である。
さて、バンクーバー五輪。フィギュアスケート女子シングルは、キム・ヨナ選手の圧勝に終わった。確かにキム・ヨナ選手の演技はSP、フリーとも素晴らしく、金メダルにふさわしいものだった。これは、本人の練習量の豊富さと同時に、4年前から練習拠点をカナダに移し、カナダ人コーチの指導を受け、カナダ国民を味方につけたキム・ヨナ陣営の戦略的な勝利ともいえるだろう。
問題は得点である。フリーで150点という点が出た時、思わず笑ってしまった。キム・ヨナ選手が「4回転-4回転」のコンビネーション・ジャンプを成功させたのかと思ったほどだ。キム・ヨナ選手は、自身が記録した世界記録を一気に17点以上も更新したことになる。これは、ジャマイカの怪人ウサイン・ボルト選手や、古いところでは、メキシコ五輪の走り幅跳で世界記録を55センチも上回る8メートル90の驚異的な記録で金メダルを獲得したボブ・ビーモンに匹敵する奇跡的な数字だ。
しかし、バンクーバーのリンク上で、僕たちはそんな奇跡を目にしただろうか。総合点で20という数字ほどの差がキム・ヨナ選手と浅田真央選手の間にあったとは思えない。というより、奇跡を起こしたのは、一度の競技でトリプルアクセルを3回成功させた浅田真央選手のほうではないのか。それなのに大差がついたのは、トリプルアクセルなどのジャンプの基礎点が、現在の得点方式ではあまり高くないのが理由だ。
今回、高難度ジャンプのリスクを避けて、演技全体の完成度を高めて勝つというスタイルが、男女ともに共通した傾向だった。そのスタイルを最も極めたのが男子金メダルのライサチェク選手(アメリカ)でありキム・ヨナ選手だったのだろう。しかし、フィギュアがスポーツである以上、難しいこと(4回転や3回転半)をやって、それで勝てないというのはおかしな話だと思う。ISU(国際スケート連盟)には、難しいジャンプへのチャレンジを促すルール改正を願う。
キム・ヨナ選手の総合得点228.56を、女子に比べて演技時間が長く演技構成もより複雑な男子の今回の結果に当てはめてみると、なんと8位だった小塚崇彦選手の231.19に次ぐ9位に食い込むではないか。キム・ヨナ選手には男子として競技してほしいというのが正直な気持ちだ。
選手の間では浅田真央選手のチャレンジを支持する声が多い。それが頼もしい。男子シングルで4回転を成功させながら銀メダルとなったロシアのプルシェンコ選手は、採点(評価)について正式に抗議する旨のコメントを出し、彼に賛同する署名はすでに2万人分集まったという。彼は女子シングルの結果についてこう述べている。
「もし僕がジャッジだったらマオにもっと加点していた。マオはきれいなトリプルアクセルを跳んだ。これにはかなり評価点がつくべきだ。しかもこの地球上で初めて(フリーで)2回もトリプルアクセルをやり遂げた。しかしジャッジはマオに十分な評価点を与えなかった」。
ジョアニー・ロシェット選手(カナダ)は大会期間中に天国へ召された母親の魂とともに、「マオにも感謝したい。果敢にトリプルアクセルに挑んだ姿を見て、私は悲しいことなんか忘れて正直、燃えたわ。ありがとう」と浅田真央選手に感謝の意を贈っている。
それに、浅田真央選手は「キム選手に負けた」とはっきり自らの敗北を認めている。トリプルアクセル3回成功という「人類初」の快挙とともに、その潔さにスタンディングオベーションである。悲しみを力に変えてエキシビションまで健気に出場し続けたロシェット選手、世界が見つめるステージで自分の100パーセントの演技を披露する喜びに満ちあふれていた鈴木明子選手も素晴らしかった。
一番の驚きは16歳の長洲未来選手(アメリカ)だ。彼女のスケートには華がある。今どきの表現をすれば、彼女は間違いなく「持っている」。すでに世界一の出来栄えの「ビールマン・スピン」をはじめ、手足の長さと体の柔らかさ生かして、これからどう成長していくのか楽しみでならない。
今季はまだ3月22日から28日まで「世界選手権」がある。次はどんなドラマが待ち受けているのだろう。舞台は、あのトリノである。
◆レコーディング・ダイエット2010
ブランチ:牛乳 灘の極みバナナ1本 超熟ロール・レーズン2個 ヨーグルト
夕 食:おにぎり2個(辛子明太子・ツナマヨ) 洋風ミックスサラダ
***
今夜は雨が本降りなので、ウォーキングはパス。
代わりにウォーキングと同じような効果が得られる運動法として、NHK「ためしてガッテン」で
紹介されていた【スローステップ運動】をやってみました。
■スローステップ運動とは?
ステップ(踏み台)を上り下りする運動(いわゆる踏み台昇降運動)を
スローなブギにしてくれ…違いますね、スローなテンポで行なう運動です。
■スローステップ運動のポイントは?
・踏み台(ステップ)の高さは20センチ程度(僕は玄関の段差を使ってやりました)
・踏み出す足は交互に
・台の上では両足が伸びきるようにする
・1分間に80回、足を動かすテンポで(好きなBGMに合わせて。例:君といつまでも)
・1回10分 1日2~3回行なう
スローステップ運動の消費カロリーをウォーキングと比較すると1.4倍なのだそうで、
カロリー消費効果は大きく、ダイエット効果が期待できます。
ただし、これは高齢者向けの運動法なので、雨じゃない日は、やっぱり外に出て、
テクテク、スタスタ、イングリモングリ歩くのがナイスミドルには似合いますね。
ジャーン!!
ダイエットの効果が目に見える形で現われたぞ。
ベルトの穴がひとつ減ったのだ!
1989年のパリ世界選手権で観客の度肝を抜いた伊藤みどりのトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)や、2度の五輪で金メダルに輝き、プロ転向後、プロ出場が解禁された1994年のリレハンメルで2大会ぶりに五輪出場し、結果は7位に留まったがカタリナ・ヴィットが浴びた満場の喝采、そして2006年のトリノ五輪で世界中をうっとりさせた荒川静香のイナバウアーは、心の外付けハードディスクにバックアップを取っているほどだ。
なかでも、DVDに永久保存した荒川静香のトリノ五輪フリーは、心が荒んで刺々しい時、その美麗で手弱女(たおやめ)な演技を眺めては、今でも気持ちを浄化させている。
Killing me softly with her skating・・・である。
さて、バンクーバー五輪。フィギュアスケート女子シングルは、キム・ヨナ選手の圧勝に終わった。確かにキム・ヨナ選手の演技はSP、フリーとも素晴らしく、金メダルにふさわしいものだった。これは、本人の練習量の豊富さと同時に、4年前から練習拠点をカナダに移し、カナダ人コーチの指導を受け、カナダ国民を味方につけたキム・ヨナ陣営の戦略的な勝利ともいえるだろう。
問題は得点である。フリーで150点という点が出た時、思わず笑ってしまった。キム・ヨナ選手が「4回転-4回転」のコンビネーション・ジャンプを成功させたのかと思ったほどだ。キム・ヨナ選手は、自身が記録した世界記録を一気に17点以上も更新したことになる。これは、ジャマイカの怪人ウサイン・ボルト選手や、古いところでは、メキシコ五輪の走り幅跳で世界記録を55センチも上回る8メートル90の驚異的な記録で金メダルを獲得したボブ・ビーモンに匹敵する奇跡的な数字だ。
しかし、バンクーバーのリンク上で、僕たちはそんな奇跡を目にしただろうか。総合点で20という数字ほどの差がキム・ヨナ選手と浅田真央選手の間にあったとは思えない。というより、奇跡を起こしたのは、一度の競技でトリプルアクセルを3回成功させた浅田真央選手のほうではないのか。それなのに大差がついたのは、トリプルアクセルなどのジャンプの基礎点が、現在の得点方式ではあまり高くないのが理由だ。
今回、高難度ジャンプのリスクを避けて、演技全体の完成度を高めて勝つというスタイルが、男女ともに共通した傾向だった。そのスタイルを最も極めたのが男子金メダルのライサチェク選手(アメリカ)でありキム・ヨナ選手だったのだろう。しかし、フィギュアがスポーツである以上、難しいこと(4回転や3回転半)をやって、それで勝てないというのはおかしな話だと思う。ISU(国際スケート連盟)には、難しいジャンプへのチャレンジを促すルール改正を願う。
キム・ヨナ選手の総合得点228.56を、女子に比べて演技時間が長く演技構成もより複雑な男子の今回の結果に当てはめてみると、なんと8位だった小塚崇彦選手の231.19に次ぐ9位に食い込むではないか。キム・ヨナ選手には男子として競技してほしいというのが正直な気持ちだ。
選手の間では浅田真央選手のチャレンジを支持する声が多い。それが頼もしい。男子シングルで4回転を成功させながら銀メダルとなったロシアのプルシェンコ選手は、採点(評価)について正式に抗議する旨のコメントを出し、彼に賛同する署名はすでに2万人分集まったという。彼は女子シングルの結果についてこう述べている。
「もし僕がジャッジだったらマオにもっと加点していた。マオはきれいなトリプルアクセルを跳んだ。これにはかなり評価点がつくべきだ。しかもこの地球上で初めて(フリーで)2回もトリプルアクセルをやり遂げた。しかしジャッジはマオに十分な評価点を与えなかった」。
ジョアニー・ロシェット選手(カナダ)は大会期間中に天国へ召された母親の魂とともに、「マオにも感謝したい。果敢にトリプルアクセルに挑んだ姿を見て、私は悲しいことなんか忘れて正直、燃えたわ。ありがとう」と浅田真央選手に感謝の意を贈っている。
それに、浅田真央選手は「キム選手に負けた」とはっきり自らの敗北を認めている。トリプルアクセル3回成功という「人類初」の快挙とともに、その潔さにスタンディングオベーションである。悲しみを力に変えてエキシビションまで健気に出場し続けたロシェット選手、世界が見つめるステージで自分の100パーセントの演技を披露する喜びに満ちあふれていた鈴木明子選手も素晴らしかった。
一番の驚きは16歳の長洲未来選手(アメリカ)だ。彼女のスケートには華がある。今どきの表現をすれば、彼女は間違いなく「持っている」。すでに世界一の出来栄えの「ビールマン・スピン」をはじめ、手足の長さと体の柔らかさ生かして、これからどう成長していくのか楽しみでならない。
今季はまだ3月22日から28日まで「世界選手権」がある。次はどんなドラマが待ち受けているのだろう。舞台は、あのトリノである。
◆レコーディング・ダイエット2010
ブランチ:牛乳 灘の極みバナナ1本 超熟ロール・レーズン2個 ヨーグルト
夕 食:おにぎり2個(辛子明太子・ツナマヨ) 洋風ミックスサラダ
***
今夜は雨が本降りなので、ウォーキングはパス。
代わりにウォーキングと同じような効果が得られる運動法として、NHK「ためしてガッテン」で
紹介されていた【スローステップ運動】をやってみました。
■スローステップ運動とは?
ステップ(踏み台)を上り下りする運動(いわゆる踏み台昇降運動)を
スローなブギにしてくれ…違いますね、スローなテンポで行なう運動です。
■スローステップ運動のポイントは?
・踏み台(ステップ)の高さは20センチ程度(僕は玄関の段差を使ってやりました)
・踏み出す足は交互に
・台の上では両足が伸びきるようにする
・1分間に80回、足を動かすテンポで(好きなBGMに合わせて。例:君といつまでも)
・1回10分 1日2~3回行なう
スローステップ運動の消費カロリーをウォーキングと比較すると1.4倍なのだそうで、
カロリー消費効果は大きく、ダイエット効果が期待できます。
ただし、これは高齢者向けの運動法なので、雨じゃない日は、やっぱり外に出て、
テクテク、スタスタ、イングリモングリ歩くのがナイスミドルには似合いますね。
ジャーン!!
ダイエットの効果が目に見える形で現われたぞ。
ベルトの穴がひとつ減ったのだ!
by kzofigo | 2010-02-26 13:23 | スポーツ旬報