ベラボーに生きる
◎ブックレビュー◎
岡本太郎 「太陽の塔」と最後の闘い 平野暁臣/著
1970年。春から秋にかけて、君はどこにいて何をしていたんだい? 僕は、地方都市の小学6年生で、大阪万博に計4回行った。「月の石」を見た。「動く歩道」に乗った。今でもトマト銀行・野田支店を見るたびに「ソ連館」を思い出す。

でも、あの万博で、僕らの心を一番強くとらえたのは、何といっても「太陽の塔」だ。テーマ館でもあった、お祭り広場の「屋根」を突き抜けて立つ姿を、僕らはまるで原寸大のウルトラマンに会ったような驚きと憧れの気持ちで見上げていた。
だから、岡本太郎(以下太郎)の代表作でもある【太陽の塔】は、ずっと大阪万博のシンボルだと思い込んでいた。でも、それは違っていた。万博で岡本太郎に与えられた任務は「テーマ展示を企画立案すること」だった。「シンボルタワーを造ってくれ」とは、ひと言も頼まれていなかった。なのに、太郎は力ずくで太陽の塔を突き立てた。
この本は、太陽の塔の創造が、120年間変わることのなかった万国博覧会の世界観に「NO!」を突きつけ、本来なら太郎が説明すべき立場にあった大阪万博のテーマ「人類の進歩と調和」さえ根底から覆すものだったことを教えてくれる。

「では、なぜ太陽の塔だけが遺ったのだろう?」
岡本太郎記念館の館長であり、太郎の生涯のパートナー・岡本敏子の甥である著者は、このシンプルな疑問を出発点に、パリでのピカソ作品との運命的な出会いや旧態依然とした日本美術界への反抗、縄文土器への目覚め、そして呪術へと太郎の足跡をたどる。
と同時に、ブレのない芸術観や日本人としての覚悟など太郎の信念を活写する。そこからは、権力や伝統、常識、既成概念、自分自身…あらゆるものと闘い続けた男の孤独な姿が浮かび上がってくる。また、太陽の塔・内部のわくわくするような展示コンセプトやテーマ館と太陽の塔のつながりなど、開催当時は知り得なかった目からウロコの新事実が次々と紹介される。

昭和45年という大阪万博当時のダイナミックな時代の胎動と岡本太郎の「ベラボーな」生きざまによって、気持ちのよい高揚感に満たされる、実にスリリングな「岡本太郎論」だ。生前の太郎に近しかった著者が記した「岡本太郎論」だから、当然ながら内容は太郎寄りだ。でも、それでいいのだ。なぜなら、40年前に少年だった僕らは今も、みんな「太陽の塔」が大好きだからだ。
「誤解される人の姿は美しい」といった、要所に引用された太郎の燃えたぎる言葉がまぶしい。この刺激的な羅盤の書を片手に携え、新たな岡本太郎と出会う旅に漕ぎ出そう。
万博の解体工事後、「太陽の塔は、これから何と向きあうのか」と聞かれ、即座に返した回答が痛快だ。どんな回答だったかは読んでからのお楽しみ。
結論。
岡本太郎はかっこいい!
◆PHP研究所 798円
岡本太郎 「太陽の塔」と最後の闘い 平野暁臣/著
1970年。春から秋にかけて、君はどこにいて何をしていたんだい? 僕は、地方都市の小学6年生で、大阪万博に計4回行った。「月の石」を見た。「動く歩道」に乗った。今でもトマト銀行・野田支店を見るたびに「ソ連館」を思い出す。

でも、あの万博で、僕らの心を一番強くとらえたのは、何といっても「太陽の塔」だ。テーマ館でもあった、お祭り広場の「屋根」を突き抜けて立つ姿を、僕らはまるで原寸大のウルトラマンに会ったような驚きと憧れの気持ちで見上げていた。
だから、岡本太郎(以下太郎)の代表作でもある【太陽の塔】は、ずっと大阪万博のシンボルだと思い込んでいた。でも、それは違っていた。万博で岡本太郎に与えられた任務は「テーマ展示を企画立案すること」だった。「シンボルタワーを造ってくれ」とは、ひと言も頼まれていなかった。なのに、太郎は力ずくで太陽の塔を突き立てた。
この本は、太陽の塔の創造が、120年間変わることのなかった万国博覧会の世界観に「NO!」を突きつけ、本来なら太郎が説明すべき立場にあった大阪万博のテーマ「人類の進歩と調和」さえ根底から覆すものだったことを教えてくれる。

「では、なぜ太陽の塔だけが遺ったのだろう?」
岡本太郎記念館の館長であり、太郎の生涯のパートナー・岡本敏子の甥である著者は、このシンプルな疑問を出発点に、パリでのピカソ作品との運命的な出会いや旧態依然とした日本美術界への反抗、縄文土器への目覚め、そして呪術へと太郎の足跡をたどる。
と同時に、ブレのない芸術観や日本人としての覚悟など太郎の信念を活写する。そこからは、権力や伝統、常識、既成概念、自分自身…あらゆるものと闘い続けた男の孤独な姿が浮かび上がってくる。また、太陽の塔・内部のわくわくするような展示コンセプトやテーマ館と太陽の塔のつながりなど、開催当時は知り得なかった目からウロコの新事実が次々と紹介される。

昭和45年という大阪万博当時のダイナミックな時代の胎動と岡本太郎の「ベラボーな」生きざまによって、気持ちのよい高揚感に満たされる、実にスリリングな「岡本太郎論」だ。生前の太郎に近しかった著者が記した「岡本太郎論」だから、当然ながら内容は太郎寄りだ。でも、それでいいのだ。なぜなら、40年前に少年だった僕らは今も、みんな「太陽の塔」が大好きだからだ。
「誤解される人の姿は美しい」といった、要所に引用された太郎の燃えたぎる言葉がまぶしい。この刺激的な羅盤の書を片手に携え、新たな岡本太郎と出会う旅に漕ぎ出そう。
万博の解体工事後、「太陽の塔は、これから何と向きあうのか」と聞かれ、即座に返した回答が痛快だ。どんな回答だったかは読んでからのお楽しみ。
結論。
岡本太郎はかっこいい!
◆PHP研究所 798円
by kzofigo | 2009-12-25 15:25 | ミュージック・ブック























