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映画「チャンス」・・・

ピーター・セラーズが大好きだ。

ピーター・セラーズといえば、
ブレイク・エドワーズ『ピンクパンサー』シリーズでのクルーゾー警部である。
1人3役を演じたキューブリック『博士の異常な愛情』での
元ナチス科学者ドクター・ストレンジラヴである。
ポーカーフェイスでこれでもかとギャグをかましまくる、バスター・キートンの系譜に属する、
スプラスティックなコメディ俳優である。

しかし、この映画は、
『さらば冬のカモメ』『帰郷』の監督ハル・アシュビーの全体を静かなトーンでまとめた
演出とともに、ピーター・セラーズのしっとりと抑制の効いた演技が実に印象的で、
シャーリー・マクレーンはじめベテラン共演者たちの達者な芝居も手伝って、
不思議な心地良さで包み込んでくれる。

CGを駆使した商業大作映画に食傷気味の方には絶対おすすめ。
しみじみと心に残る、大人のためのおとぎ話だ。


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これは米映画だが、
ピーター・セラーズは英国人で、クルーゾー警部はフランス人、ストレンジ博士はドイツ人だ。
で、この『チャンス』である。なんという芸域の幅広さ、奥深さであろうか。

この映画製作の翌年1980年7月24日、
ピーター・セラーズは持病の心臓疾患が悪化して54歳の若さでこの世を去った。
が、『チャンス』が遺作ではない。
最後の出演作は『天才悪魔フー・マンチュー』だ。
コメディアン、ピーター・セラーズの最後を飾る作品として、なんとふさわしい映画であろうか。

米映画誌「プレミア」が実施した「映画史上最も偉大なキャラクター100人」のアンケートで、
チャンス、クルーゾー警部、ドクター・ストレンジラヴは、それぞれ49位、67位、75位に
ランクインしている。

ちなみに1位は「ゴッドファーザー」でマーロン・ブランドが演じたドン・コルレオーネだ。


おすすめ度★★★★★

by kzofigo | 2009-03-17 11:31 | ムービービーム