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直島へ帰って来た 5     

この家で僕は生まれた。母の実家だ。

写真に写っているのは蔵を増築した「はなれ」と玄関。この奥に20畳ぐらいの神殿と、3階建ての母屋と、6畳の客間が5部屋あるもうひとつの「はなれ」がある。家の正面は最近改築して、昔の面影がまったくなくなってしまった。それが何ともさみしくて仕方がない。

僕が生まれた昭和33年当時、島には内科の病院が一軒あるだけで、産婦人科なんかないから、みんな産婆さんの世話になった。家には、祖父と祖母、長男夫婦とその娘たちが住み、親戚や町民や訪問客が絶えず出入りしていて、いつも賑やかだった。


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間口は狭いけど、奥行きが長い。30mほどあるだろうか。路地の向こうは、一番下の写真、直島港だ。たしか2004年の台風16号の時だったと思うけど、大潮と満潮が重なって高潮になり、港から海水が路地を抜けてバス通りまで流れ込んできて、床下浸水になった。被害は軽四1台で済んだそうだ。


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生家の玄関前で、延びてくる日陰に怯えるように日向ぼっこをする野良猫。純和風の玄関は旅館顔負けの造りなので、間違えて入ってくる観光客もいるそうだ。


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生家の一番奥の客間から見た直島港。僕はこの風景が大好きだ。自分の記憶に残っている一番遠い原風景のような気がする。向こうに霞んで見えるのは玉野市の山々だろう。昭和20年6月の岡山空襲の時には、あの山の向こうの夜空が真っ赤に燃え上がって見えた…と母によく聞かされた。


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by kzofigo | 2009-01-28 01:06 | トラベリング・ボーイ