開業医 179-82 総合病院

昼下がりのジョージ川口、DELL製のモニタとにらめっこしていたら、ふいに自分がコビトになった錯覚にとらわれた。よくあるよね、こういうこと。本当に自分はコビトになったのだろうか? 無性に身長と体重をはかりたくなった。
近くにデーンとそびえる国立の医療センターに初めて行った。1階にドトールコーヒーが入っていた。恐ろしくスピードが遅いエスカレーターで2階に上がり、まなざしがゆれて瞳が真行寺君枝のように美しい受付のお姉さんに(マスクをしていたから顔全体の美醜は不明である)「コビトになったみたいなんで、身長と体重をはかりたい」と言った。
ゆれるまなざしに不審が影を落として、「あの・・・診察に行けばあると・・・ちょっと待ってください・・・聞いて来ますので」と言ってお姉さんは奥へ消えた。しばらくして出て来たお姉さんは落ち着いた態度で「ダメですね、測定器がないそうです」と言った。
国立の医療センターに測定器がないのか。患者の身長と体重をはかるときはきっと外注に出すんだ。もしかするとあのドトールが外注の受付になっているのかも知れないな。医療センターの周りに掃いて捨てるほどある薬局に尋ねても埒が明かない。

仕方がないので開業医へ飛び込みで行った。ちょうど午後の診察が終わって看護師のおばさんが玄関を掃除していた。おばさんに頼むと、「ええよ。靴脱いで上がって」と言って診察室に連れて行ってくれた。それだけでなく、身長の測定器と体重計ではかるのを手伝ってくれた。
おばさんが「171・・・いや・・・173・・・違う違う、えーと」とまごついていると、受付の部屋から「××さん、大丈夫?」と若い女性のからかうような声がした。おばさんは「目が悪うて、よう見えんのんじゃが」と言って笑い「自分で見て」と僕にうながした。ちょうど179cmだった。
体重計に乗った。今度はおばさんがちゃんと「82kgじゃな」と教えてくれた。179cmで82kg。なんだ、ちっともコビトじゃないじゃないか。安心して僕はおばさんに心から「ありがとう」と礼を言った。おばさんは「こんなんお安い御用じゃ」と言ってまた笑った。
受付の前を通ったとき「お大事に」という声がした。さっきの看護師らしき若い女性の声だ。でも姿が見えない。スリッパをしまって靴を履いていると「××さん、私も測って」と診察室からその女性の声がした。「えーと、6cm。あんた、相変わらず小せえなあ」とあきれたようなおばさんの声がした。
旧53号線沿いにある
N医院(内科・消化器科・外科・皮膚科)
は融通の利くいい病院だ。
帰りに行きつけのスタンドでガソリンを入れた。リッター93円。2330円で満タンになった。去年の180円台がウソのようだ。それともこの話自体がウソなのだろうか。
by kzofigo | 2009-01-20 23:52 | 蒼いフォトグラフ























