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肛門の筋が1本少ない。

パソコンでDVD『転々』を観たあと、イオン倉敷へ行って来た。

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あらすじ

竹村文哉(オダギリジョー)は大学8年生。幼い頃に両親に捨てられ、育ての父親は逮捕されてしまった、ひとりぼっちの男。いつの間にかこしらえてしまった借金は84万円。返済期限は残り3日。期限の前日、文哉は借金取りの福原(三浦友和)から、借金をチャラにする方法を提案される。それは、吉祥寺から霞ヶ関まで歩く福原の「東京散歩」に付き合うこと。その報酬はなんと現金100万円。イヤな感じを受けつつも、他に選択肢のない文哉は、福原の提案に乗ることにした…。

◆キャスト
竹村文哉:オダギリジョー
福原愛一郎:三浦友和
麻紀子:小泉今日子
ふふみ:吉高由里子
国松:岩松了
仙台:ふせえり
友部:松重豊
愛玉子店のおばさん:鷲尾真知子
愛玉子店の息子:石原良純
岸部一徳:岸部一徳
鏑木:広田レオナ
ギターマン:ブラボー小松
尚美:平岩紙
お婆さん:風見章子
畳屋のオヤジ:笹野高史
三日月しずか:麻生久美子(友情出演)

◆原作
藤田宣永(1999年)


監督・脚本の三木聡(1961年生)は、放送作家として『夕やけニャンニャン』、『タモリ倶楽部』、『笑う犬シリーズ』、『ダウンタウンのごっつええ感じ』、『明石家マンション物語』、『トリビアの泉』などをヒットさせ、『イン・ザ・プール』(2005年)、『亀は意外と速く泳ぐ』(2005年)、『ダメジン』(2006年)、『図鑑に載ってない虫』(2007年)、『インスタント沼』(2009年公開)といった映画を監督。

他にもシティボーイズの舞台演出など、幅広いジャンルで活躍している。多才であり、かつ異彩を放つ人だ。おっと忘れちゃいけない、深夜枠ながら最高13.5%の高視聴率を叩き出した人気ドラマ『時効警察』(2006年)、『帰ってきた時効警察』(2007年)の脚本・演出で一躍、時の人となった“a man of the hour”である。

彼が手がける映画は『タモリ倶楽部』のタッチがいちばん色濃く出ているんじゃなかろうか。「オフビート」のひと言では片づけられない、その独特の映像センスを決定づけているのが、ストーリーとは関係ないところでカマされる小ネタの数々。登場人物、せりふ、演技、コスチューム、ネーミング、エピソード、小道具・大道具……本編より小ネタのほうに軸足が入ってんじゃね?と思わせるほどのおびただしい小ネタが、キレやウケを超越して、実にまったりと映画中に散りばめられている。

もっと言ってしまえば、上記のキャスティング自体、小ネタといってええ。ええねん、ええねん。ネタバレになって申し訳ないが、鷲尾真知子や石原良純、広田レオナ、風見章子、笹野高史(←ここにも出てる!)、麻生久美子らのカメオ出演やブラボー小松といったマニアックなギタリストの出演は、もう小ネタの最たるものだ。


         ▼公式サイトが、かわいい
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で、本題に入るが、この小ネタ満載オフビート系の三木聡ワールドが、【好き or 嫌い】で、三木聡作品は、観る人の評価が決まってしまう。僕は、好きじゃなくて、大好きだ。三木作品を好きか嫌いかは観なきゃ分からない。とくに、この映画は笑いの振幅が時間の経過とともに激しくなる。最初は「?」と感じても最後まで観てみよう。

三木聡とは『時効警察』でコンビだったオダギリは自然体だ。当然、三浦友和が三木演出に合わせることになるが、さすが早くに二枚目俳優を脱してさまざまな役柄をこなしてきただけあるぜ、オダギリとの息もぴったりだった。

「肛門の筋(すじ)が1本少ない」は麻紀子役・キョン×2のせりふ。こういう小劇団アガリ的なせりふを吐いても何の違和感もない。大女優に成長したものだ。キョン×2がオダギリを「文哉(フミヤ)」って呼ぶシーンが何度かある。ドキッとさせるなよ……と80年代の名残につぶやいたりできる楽しみもあるぞ。

岩松了+ふせえり+松重豊が、『時効警察』の時効管理課のノリで、3バカトリオ的。映画を通して笑わせてくれる。3人でこの映画からスピンアウト……はないだろうなあ。特筆すべきは、吉高由里子! 何なんだ、この子は!? 「ふふみ」という素性が分からない娘役なんだけど、とっ散らかったハイテンションな演技でいちばん笑わせてくれた。

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▼吉高由里子『転々』出演のインタビュー。素も可笑しい。
http://jp.youtube.com/watch?v=pPHDgtLodMM

この映画、実は「家族」という隠しテーマがある。オダギリ演じる文哉の育ちは「あらすじ」にあるとおりだが、三浦友和の福原はもっと重大な問題を抱えている。その2人が一緒に散歩を続けているうちに、本人たちも予期しなかった微妙な心の変化が訪れる。

その変化に共鳴して、目的地にたどり着いて欲しくないないなあ、このまま2人とずっと散歩していたいなあ、と観ているこっちも道連れになり続けたくなった。それはなぜかっていうと、この映画が、歩くロードムービー だからだろうね。

音楽に相当凝ってるのは分かるが、鈴木慶一とムーンライダーズ以外は、さっぱり分からしまへんどした。ラストは『ゆれる』のパロディで、オダギリに走りながら、こう叫び続けてほしかったな。

おやじーっ!


おすすめ度★★★★☆



            ++++++++++++++++++++++++


さて、イオン倉敷では、喜久屋書店とTOWER RECORDSに寄って、オセラ次号で紹介する本とCDをハンティング。何を選んだかは内緒だよ~ん。タワレコでは、品番を入力して新譜を試聴できるマシンを初めて扱った。俺様も文明人の仲間入りじゃ。

なぜかイオン倉敷で長い時間歩いたり、立ちっ放しだと、古傷のギックリ腰の影響で右足がしびれてくる。腰も痛くなる。椅子に座ると治まる。喜久屋書店を出たところにあるソファで休む。向かいに最近出店した帽子屋がある。かわいい店だ。店の名前が覚えられない。

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帽子屋の名前が分かったぞ。帽子専門店「ミューズカオサンロード」じゃ。「シュミーズおっかさんどーぞ」と自分流のフレーズに置き換えて覚えていたつもりが、そのフレーズを忘れてしもうとったわい。ぐひょー

by kzofigo | 2009-01-13 23:52 | ムービービーム