レレレとゲゲゲ
昨夜たまたま見た「教育テレビの逆襲 ~よみがえる巨匠のコトバ~」が面白かった。
途中からだったが、爆笑問題を司会に、立花隆、糸井重里、矢口真里をゲストに迎え(前半は加山雄三も出ていたみたい)、教育テレビで放送した各分野の第一人者の言葉を再現しながら、この50年が一体どんな時代だったのかを検証する内容だった。


スタジオワークは、例によって太田光が、相方・田中を餅つきのコネ役に、エキセントリックな仮説をぶち上げ、糸井重里がその説からエッセンスをひっぱり出し、立花隆がその本質をやさしい言葉で解説し、矢口が画面に花を添える(笑)といった趣。
主人公はインタビューの核心部分からピックアップされた巨匠の言葉たち。
三島由紀夫、開高健、矢沢永吉、司馬遼太郎、オノ・ヨーコ、黒澤明、石原裕次郎、埴谷雄高、赤塚不二夫、水木しげる、手塚治虫、押井守、養老孟司、寺山修司・・・・・あらかじめNHKのスタッフによって、その人物の発言としてふさわしい部分がセレクトされてのオンエアだから、見る側の客観的な判断がどれくらい的を射ているかは怪しいが、彼らの言葉の幾つかにはうなずけるものがあった。
▼「YOU」東京MC担当
▼大阪MC担当
永ちゃんの自叙伝『成り上がり』の構成者として一時は矢沢永吉の分身と化していた糸井重里の「永ちゃんは変わらないなあ。これこそ普遍だよ」のひと言には説得力があった。糸井重里は80年代に、現在のNHK教育「トップランナー」の前身に当たると思われる若者向け・サブカルチャー番組「YOU」の司会を務めていたが、YMOがゲスト出演した回の映像が流された。
驚いたのは会場に観客として来ている若者たちの軟弱さと従順さだ。ヒツジのようにおとなしくて個性というものがまったく感じられない。現在の若者たちよ、自信を持っていい。君たちは十分に個性的だ。
概して、文人よりも漫画家の言が面白かった。
赤塚不二夫「このなかで自分は最低の人間だと思っちゃうの。そうすれば、みんな優しくしてくれるから。フジオちゃん、フジオちゃんて」・・・・・この人はやっぱり作品も本人も同じひとつのことをずーっと言い続けて生きたんだな~とあらためて思う。「バカになれ。バカをやれ」と。あ、2つだ。

手塚治虫「僕が描くものは荒唐無稽だと言われた。逆に、他の人が描くものは個性があるのに、僕のは誰が描いたのか分からないとも言われた。何をやっても叩かれるんだ」・・・・・彼の言葉には漫画とアニメを世に認めさせたパイオニアとしての自負が見え隠れしている。
それは漫画が体制側に回るということでもあって、「手塚的ヒューマニズム」を嫌悪している宮崎駿が元・極左であることも、反・手塚に関係しているのかな、とも思った。しかし、今やジブリはすっかり日本文化の体制だぞ。かつて宮崎駿がいた場所にいるのは押井守じゃないのか?
ただし、埴谷雄高だったと思うんだけれど、「戦争で死んでいった人たちの精神を私は受け継いで伝えなければならないし、私から受け継いだ人たちも、その精神を次の世代へと伝えなければならない」といった決意を語っていた。その言葉には真剣を喉元に突きつけられたような鋭さがあった。

僕がいちばん共感したのは水木しげる氏の言葉だ。うろ覚えで申し訳ないが、「妖怪と仲良くなれば」が話の枕だったと思う・・・・・「人間は普通、死んだら解放されるでしょ。そうじゃない。生きているうちに解放されるんですよ。いいでしょう」。
本当に、生きているうちに、すべてのものから
解放されたら、どんなにか素晴らしいことだろう。
by kzofigo | 2009-01-07 21:34 | ガッツ・エンタテインメント























