再録 奇縁まんだら
※携帯が直り写真を撮り直したので再び掲載しました。
21人の物故巨匠作家との奇縁を、
豊富なエピソードで綴った交友録。

毎週土曜日の日本経済新聞に連載されている、
瀬戸内寂聴の随筆が本になった。
瀬戸内寂聴は好きではないのだが、
これは書店で表紙が目に飛び込んで来た。
本のジャケット買いだ。中身もよかった。
今年で86歳になる著者が、茫々の歳月のなかでめぐりあった
「人との出逢いとおびただしい縁」を綴った交友録である。
松本清張
登場する顔ぶれがすごい。
島崎藤村から水上勉まで、
いずれも歴史上に名を止めた21人の偉大な作家たちだ。
正宗白鳥、川端康成、三島由紀夫、谷崎潤一郎、佐藤春夫、舟橋聖一、
丹羽文雄、稲垣足穂、宇野千代、今東光、松本清張、河盛好蔵、里見弴、
荒畑寒村、岡本太郎、壇一雄、平林たい子、平野謙、遠藤周作。
毎回それぞれの業績や行状、自分との縁、創作の秘話を、
自らの長い道程と並べて見ながら、機知に富んだ筆を揮っている。
また、ハンサムな文人たちの美男ぶりを好色な目線で書き写したり、
女流作家についてもその品行を包み隠さず記すなど、
読んでいると豊かな心持ちにさせてくれる。
荒畑寒村
作家の伝記は後世の人によって書かれることが多いが、
本人を直接知らないとき、第三者の証言をもとに作家像を再現するしかない。
その場合、歳月によって埋没した事実を掘り起こすことができても、
個々の場面での感情の揺らぎは描きにくい。
その点、生の肉声を聞き、飾らない表情を直に見た著者の
臨場感溢れる描写には圧倒される。
作家たちはまるで蘇ったように笑い、語り合い、立ち振る舞っている。
そこが本書の最大の魅力だ。
丹羽文雄
さらに、横尾忠則による肖像画が、濃厚な味を醸し出している。
個々の作家の本性を見事に捉えながら、
存在の裏側にあるものまで描き出している。
文章との相性も抜群で、双方を代わる代わる眺めるのが実に楽しい。
墨痕淋漓とした濃い口の随想集であり、読み応え十分の作家論だ。
稲垣足穂
◆日本経済新聞出版社 2000円
21人の物故巨匠作家との奇縁を、
豊富なエピソードで綴った交友録。

毎週土曜日の日本経済新聞に連載されている、
瀬戸内寂聴の随筆が本になった。
瀬戸内寂聴は好きではないのだが、
これは書店で表紙が目に飛び込んで来た。
本のジャケット買いだ。中身もよかった。
今年で86歳になる著者が、茫々の歳月のなかでめぐりあった
「人との出逢いとおびただしい縁」を綴った交友録である。
松本清張

登場する顔ぶれがすごい。
島崎藤村から水上勉まで、
いずれも歴史上に名を止めた21人の偉大な作家たちだ。
正宗白鳥、川端康成、三島由紀夫、谷崎潤一郎、佐藤春夫、舟橋聖一、
丹羽文雄、稲垣足穂、宇野千代、今東光、松本清張、河盛好蔵、里見弴、
荒畑寒村、岡本太郎、壇一雄、平林たい子、平野謙、遠藤周作。
毎回それぞれの業績や行状、自分との縁、創作の秘話を、
自らの長い道程と並べて見ながら、機知に富んだ筆を揮っている。
また、ハンサムな文人たちの美男ぶりを好色な目線で書き写したり、
女流作家についてもその品行を包み隠さず記すなど、
読んでいると豊かな心持ちにさせてくれる。
荒畑寒村

作家の伝記は後世の人によって書かれることが多いが、
本人を直接知らないとき、第三者の証言をもとに作家像を再現するしかない。
その場合、歳月によって埋没した事実を掘り起こすことができても、
個々の場面での感情の揺らぎは描きにくい。
その点、生の肉声を聞き、飾らない表情を直に見た著者の
臨場感溢れる描写には圧倒される。
作家たちはまるで蘇ったように笑い、語り合い、立ち振る舞っている。
そこが本書の最大の魅力だ。
丹羽文雄

さらに、横尾忠則による肖像画が、濃厚な味を醸し出している。
個々の作家の本性を見事に捉えながら、
存在の裏側にあるものまで描き出している。
文章との相性も抜群で、双方を代わる代わる眺めるのが実に楽しい。
墨痕淋漓とした濃い口の随想集であり、読み応え十分の作家論だ。
稲垣足穂

◆日本経済新聞出版社 2000円
by kzofigo | 2008-12-26 23:31 | ミュージック・ブック























