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再録 奇縁まんだら     

※携帯が直り写真を撮り直したので再び掲載しました。

21人の物故巨匠作家との奇縁を、
豊富なエピソードで綴った交友録。


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毎週土曜日の日本経済新聞に連載されている、
瀬戸内寂聴の随筆が本になった。

瀬戸内寂聴は好きではないのだが、
これは書店で表紙が目に飛び込んで来た。
本のジャケット買いだ。中身もよかった。

今年で86歳になる著者が、茫々の歳月のなかでめぐりあった
「人との出逢いとおびただしい縁」を綴った交友録である。


松本清張再録 奇縁まんだら     _b0137183_2336915.jpg





























登場する顔ぶれがすごい。
島崎藤村から水上勉まで、
いずれも歴史上に名を止めた21人の偉大な作家たちだ。

正宗白鳥、川端康成、三島由紀夫、谷崎潤一郎、佐藤春夫、舟橋聖一、
丹羽文雄、稲垣足穂、宇野千代、今東光、松本清張、河盛好蔵、里見弴、
荒畑寒村、岡本太郎、壇一雄、平林たい子、平野謙、遠藤周作。

毎回それぞれの業績や行状、自分との縁、創作の秘話を、
自らの長い道程と並べて見ながら、機知に富んだ筆を揮っている。

また、ハンサムな文人たちの美男ぶりを好色な目線で書き写したり、
女流作家についてもその品行を包み隠さず記すなど、
読んでいると豊かな心持ちにさせてくれる。


荒畑寒村再録 奇縁まんだら     _b0137183_23381597.jpg





























作家の伝記は後世の人によって書かれることが多いが、
本人を直接知らないとき、第三者の証言をもとに作家像を再現するしかない。
その場合、歳月によって埋没した事実を掘り起こすことができても、
個々の場面での感情の揺らぎは描きにくい。

その点、生の肉声を聞き、飾らない表情を直に見た著者の
臨場感溢れる描写には圧倒される。
作家たちはまるで蘇ったように笑い、語り合い、立ち振る舞っている。
そこが本書の最大の魅力だ。


丹羽文雄再録 奇縁まんだら     _b0137183_23385992.jpg























さらに、横尾忠則による肖像画が、濃厚な味を醸し出している。
個々の作家の本性を見事に捉えながら、
存在の裏側にあるものまで描き出している。
文章との相性も抜群で、双方を代わる代わる眺めるのが実に楽しい。

墨痕淋漓とした濃い口の随想集であり、読み応え十分の作家論だ。



稲垣足穂再録 奇縁まんだら     _b0137183_2339471.jpg




























◆日本経済新聞出版社 2000円

by kzofigo | 2008-12-26 23:31 | ミュージック・ブック